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グルマン温故知新:江戸川橋〈中華 汀〉古典をリスペクトした緻密な料理を気軽に

テーマごとにレストランを紹介するブルータスの人気連載。今回のテーマは「町の中華バル」。高級店にも引けを取らない料理を街場の価格とお酒に合うスタイルで。どちらも名店出身で中国料理のシェフを父に持ち、気楽なアラカルトメニューで普段使いできるカジュアル路線をひた走る。オープン間もないながら町にしっかりと根を下ろす、有望株な店。

Photo: Shin-ichi Yokoyama / Text: Mamiko Kume

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中華 汀(江戸川橋)

古典をリスペクトした緻密な料理を気軽に。

四谷三丁目〈峨眉山〉を皮切りに、神楽坂〈芝蘭〉では料理長として腕を振るった江崎祐弥さん。縁があって名店が主催する四川省ツアーに参加し、「パンチが効いているのにさらりとして軽い。食材や香辛料の使い方、その何もかもが新鮮だった」と本場の味に開眼。以来、中国の古典料理を踏まえながら、理論的な調理技術と工夫で狙い通りの味を生み出している。

名刺代わりのシグネチャーメニューは、修業時代にまかないで「作りに作った」という麻婆豆腐。水溶き片栗粉の分量と濃度、入れるタイミングを見極め、豆腐に膜を張るようにして加え、煮ながら焼いて仕上げるという経験の賜物。口にしたらまず旨味、次に豆腐の甘味が広がり、清々しい辛味のパンチを残す。

予約しなくても利用できて好きなようにオーダーし、高級店で出されるような料理を気取らずに堪能する。そんな店が江崎さんの理想とするところ。おおむねその方向に進んでいる。

江戸川橋〈中華 汀〉店主の江崎祐弥さん
店主の江崎祐弥さんは福岡県出身。33歳と中国料理では若くして独立。
江戸川橋〈中華 汀〉店内
元カフェだったという店内。そこかしこにその面影が。

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