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グルマン温故知新:白金高輪〈洋食レストランmarronnier〉地元愛と洋食愛がこもったノーブルな料理を

テーマごとにレストランを紹介するブルータスの人気連載。今回のテーマは「フレンチの腕に覚えありの洋食屋さん」。明治時代にフランス料理を中心とする西洋料理が日本にもたらされ、その後日本人の味覚に合わせて独自に発展したのが、今日の洋食。共通する要素も多い「フランス料理」と「洋食」、両方の経験を持つシェフの新店は、古き良き味わいと新鮮味とが共存している。

photo: Shin-ichi Yokoyama / text: Haruka Koishihara

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洋食レストランmarronnier(白金高輪)

地元愛と洋食愛がこもったノーブルな料理を

磨宝卵(まほうらん)、宮ゆず、ヤシオポーク。メニューにちりばめられた食材名はいずれも栃木県産。というのも、オーナーシェフの阿久津正輝さんは栃木出身なのだ。

洋食店を舞台にしたドラマがきっかけで憧れを募らせ、調理師免許を取得できる地元の高校を卒業後は浅草の名店〈レストラン大宮〉へ。6年半にわたって大宮勝雄シェフからみっちりと洋食の基礎を叩き込んでもらった。その後は自由が丘〈プティマルシェ〉、そして広尾の〈コントワールミサゴ〉とタイプの異なるフランス料理店で15年以上の修業を重ねた。

フレンチの経験も糧にしつつも、念願の自身の店はやっぱり王道の洋食を主役に。とりわけ洋食の要であるデミグラスソースには時間も手間も惜しまない。牛すじ肉や香味野菜を1日半煮込んだソースを漉(こ)し、そこに再度材料を加えてさらに1日半煮込む手のかけよう。端正な味わいと盛り付けの品々に、洋食の料理人としての矜持(きょうじ)が漂う。

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