旧雨(早稲田)
私房菜を思わせるアットホームな中国薬膳料理
小気味良い中華鍋の音、蒸籠(せいろ)の白い湯気、食欲を煽るゴマ油の香り。オープンキッチンを目の前にするこちらは、プライベート空間でシェフが腕を振るう香港の私房菜さながらの佇まい。
中国料理〈古月 新宿〉でのシェフ経験を経て、スタイル変更した新店に立つオーナーシェフの前田克紀さん。高級営養薬膳師の資格を持ち、中国の伝統的な医学=中医学の基本理念に則(のっと)った料理方法で9品前後のおまかせコースを楽しませている。
例えば、スペシャリテの養生スープ。ビーツと落花生、ターメリックにホロホロ鳥の組み合わせは「血(けつ)が不足しがちな春は、肝の働きを良くするため血を補い、体に巡らせる食材を取り入れます」と前田さん。
豪快なイメージのある炒め物も、平貝の表面を軽く炙(あぶ)ったら、70℃で温める程度に火入れ。別々に加熱したフキノトウとゴマ油のソースで和える丁寧さ。
品数も多くワンオペゆえ、時間には余裕を持って来店を。