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グルマン温故知新:蔵前〈黒猫庵〉味も雰囲気もハイセンスなイマドキ蕎麦店

テーマごとにレストランを紹介するブルータスの人気連載。今回のテーマは「蕎麦にちょっと新しい風」。蕎麦好きの多くは昼間っから飲めることを至福の喜びとする。それって酒好きなんじゃ?いやいや、蕎麦が好きだから酒が旨いのだ。一人手酌で、あるいは友と酌み交わし、蕎麦を手繰れば、きっとわかる。旨い酒に旨い蕎麦。これぞ大人のタシナミってもんである。

photo: Yuji Hata / text: Noriko Watanabe

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黒猫庵(蔵前)

味も雰囲気もハイセンスなイマドキ蕎麦店

え、ワインバー⁉な外観。「そば」と書かれた木札がぶら下がる不思議な形の行灯(あんどん)に、この店、何かあるぞと胸が躍る。店名は、店主・長谷川僚さんが「子供の頃、『注文の多い料理店』の山猫軒の話が好きだった」こともあってのことだ。

店に入ると、まず目に飛び込んでくるのが石臼。ぐーるぐる回っている。その石臼を囲むように席が設けられている。奥にはシックなカウンター席。妻・美幸さんの明るいサービスも手伝って、アットホームな雰囲気だ。

店主は原宿や渋谷でレストラン事業に関わってきたが、将来的に夫婦でやれる店をと蕎麦屋に。蕎麦打ちは、研修は重ねてきたものの、いわゆる修業経験はない。が、蕎麦は端正で旨い。産地は毎日替えているそうで、蕎麦と蕎麦がきも産地を別に。

返しは3ヵ月は寝かせたものを使用。蕎麦前の一番人気は生牡蠣(なまがき)。全国から取り寄せているので、食べ比べてみたい。酒が進むこと間違いない。

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