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グルマン温故知新:幡ヶ谷〈キッチンかねじょう〉自家製パンも美味、立ち飲みスパイスビストロ

テーマごとにレストランを紹介するブルータスの人気連載。今回のテーマは「やさしいビストロ」。ワイン一杯でも、しっかり食事でも使い方は自由。店主の自宅に招かれたようにくつろげ、料理は食べ疲れせず、味の軸はビシッと決まっている。で、リーズナブル。ナチュラルワインシーンが生んだ、コンビニエントで上質、センスも抜群なビストロを紹介。

Photo: Naoki Tani / Text: Kei Sasaki

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キッチンかねじょう(幡ヶ谷)

自家製パンも美味、立ち飲みスパイスビストロ。

わずか6坪の立ち飲み屋だが、テイクアウトもできるし、週に3日は朝食営業もあり。いわく「飲める惣菜屋」。店主の上松晃大さんが料理を作り、妻の菜穂さんがパンを焼く。テイクアウトは「容器持参でオマケします」「パンは3切れ200円~」という親しみやすさだが、料理の味は、「立ち飲み屋」から想像するレベルを軽々超えてくる。

上松さんは、恵比寿や丸の内のビストロやビアバーでシェフを歴任。独立前に下北沢〈旧ヤム邸〉でスパイスの奥深さに触れ、渋谷〈アヒルストア〉でナチュラルワインとカウンターでの接客を学んだ。

素材の味を持ち上げるスパイスの効かせ方も、塩気や酸味でメリハリをつけるビストロ料理もプロの仕事だが「カレーとナチュラルワインもアリ、シャルキュトリーと芋焼酎でも」という自由度は家庭の食卓の延長線上。個の商いが残る六号通り商店街の一角。夫妻の気取りのない客あしらいも、町にしっくりと馴染んでいる。

幡ヶ谷〈キッチンかねじょう〉店主の上松晃大さん、妻の菜穂さん
上松さんと菜穂さん。上松さんのお父様が鹿児島市で営んでいたバーから松の戸板と屋号を継承。
幡ヶ谷〈キッチンかねじょう〉店内
窓が広く、日中は明るい。

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