銀座かつかみ（銀座）
ルールを守って、とんかつをもっとおいしく。
店主の日向準一さんいわく、「とんかつは蒸し料理」。だから衣は肉にピタッと隙間なく、肉汁を逃さず揚げる。パン粉はベスト30から、山形県産米沢豚に合う気持ち細かめをセレクト。揚げ油はラードとサラダ油をブレンドし、コースは昼は2切れ、夜は1切れずつ。いろいろな部位を味の薄い順に食べさせる。
スペシャリテのヒレ肉は揚げた後に網の上で休ませ、肉汁を落ち着かせてから両サイドの衣をカット。パン粉ではなく、あくまで肉の味を堪能してほしいとの思いゆえ。まずは表面に浮かぶ肉汁を「シュッ」と吸ってから味わうのがルール。ロースも衣ではなく肉側、それも脂身から食べると旨いそう。わさびを添えたリブロース、トリュフバターが香る肩ロースと趣向を凝らし、トマトの出汁サラダやにんじんドレッシングで食べるキャベツは、うれしい口直しだ。
「ヒレカツ」肥育日数が210日と長い山形県産米沢豚にこだわる。肉汁をこぼさないよう、ロゼ色に揚げた断面を上側にしたまま提供。まずはそのまま味わってから、お好みで塩やソースをつけて堪能する。軽やかな衣と豚肉は強い甘味が感じられ、噛むほどに旨味がにじみ出る。料理はすべて¥5,400の夜のコースから。 
「メンチカツ」あらかじめ挽き肉をよく練り込んでハンバーグのタネを作り、肉と同量のタマネギを加えてジューシーな仕上がりを目指す。もっちりとした食感の特製バンズでサンドし、キレのあるソースをつけ、バーガースタイルで。 
「カツカレー」豚の挽き肉入りで懐かしい味わい。カツの部位は日によってさまざま。赤ワインで漬けたラッキョウを添えて。「ライスとルーのバランスを考えながら食べなくてもいいように」と、ソースを後がけしてくれるのも嬉しい。
揚げ物ずくめのコースだが、食後は不思議なほどすがすがしい。もう一巡してもいいほどに。
