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グルマン温故知新:四谷三丁目〈舟町 鮨やました〉バランスを大事にした“食べ疲れ”しない寿司

テーマごとにレストランを紹介するブルータスの人気連載。今回のテーマは「新しい町寿司」。予約困難に加え高級化の加速が進み、ハードルがぐんと上がった寿司だが、ここに来て新たな潮流が!確かな腕前ながら「気軽に親しんでもらいたい」と、お値打ちなおまかせ握りを楽しませる新店が四谷三丁目に登場。末長くご贔屓に!

Photo: Yoichiro Kikuchi / Text: Mamiko Kume

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舟町 鮨やました(四谷三丁目)

バランスを大事にした“食べ疲れ”しない寿司。

日頃の行いがいいのか、店主の山下篤史さんは引きが強い。寿司の名店が点在する四谷界隈で、外苑東通り沿いの好立地に巡り合えた。お米だってそう。ふらりと入ったのが、ブレンドのプロとして有名な麴町の米屋。北海道産をメインに、好みのオリジナル米を開発してもらった。

東京・赤坂〈寿司田〉グループで一通りの仕事を身につけ、独立。お任せコースは焼き物、煮ダコとシンプルな寿司屋のつまみに始まり、握りへと続く。「魚がおいしいのは大前提」と吟味した素材とのバランスを大事に、米の食感や味わいも立たせるのが流儀。

やや甘めにして酢を効かせるさじ加減で生臭みもなく、次から次へ食が進んでも最後まで食べ疲れることはない。「魚のポテンシャルに助けられている。ほかが高いだけで、うちでは十分いいお値段をいただいています」と、実に謙虚。

持ち前の人柄の良さと誠実さで、厳しい時期のオープンながら筋のいい常連に愛されている。

四谷三丁目〈舟町 鮨やました〉店主の山下篤史さん。
33歳という若さで一国一城の主人となった山下篤史さん。
四谷三丁目〈舟町 鮨やました〉店内
設えは絵画のみでシンプルに。白木のカウンターが映える店内。

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