舟町 鮨やました(四谷三丁目)
バランスを大事にした“食べ疲れ”しない寿司。
日頃の行いがいいのか、店主の山下篤史さんは引きが強い。寿司の名店が点在する四谷界隈で、外苑東通り沿いの好立地に巡り合えた。お米だってそう。ふらりと入ったのが、ブレンドのプロとして有名な麴町の米屋。北海道産をメインに、好みのオリジナル米を開発してもらった。
東京・赤坂〈寿司田〉グループで一通りの仕事を身につけ、独立。お任せコースは焼き物、煮ダコとシンプルな寿司屋のつまみに始まり、握りへと続く。「魚がおいしいのは大前提」と吟味した素材とのバランスを大事に、米の食感や味わいも立たせるのが流儀。
やや甘めにして酢を効かせるさじ加減で生臭みもなく、次から次へ食が進んでも最後まで食べ疲れることはない。「魚のポテンシャルに助けられている。ほかが高いだけで、うちでは十分いいお値段をいただいています」と、実に謙虚。
持ち前の人柄の良さと誠実さで、厳しい時期のオープンながら筋のいい常連に愛されている。