Cosi Com’ē(三軒茶屋)
素材選び、香りと酸味で個性を出すテクニシャン。
〈アロマフレスカ〉グループを経て、広尾〈ボッテガ〉へ。オーナーシェフの井村俊介さんは名店での経験をベースにしつつも、「何料理かと聞かれればイタリアン」という制約のないフレキシブルなスタンスを貫く。
毎日書き換えられるノートのメニューは、3部構成。水茄子のバーニャカウダ、ギアラの肉じゃがといった前菜はうんと自由なアレンジで。ミートソースやワタリガニのパスタは、手打ちもこなす多才ぶり。メインは直球の「焼きっぱなし」か。あるいは赤ワインで甘く煮込み、ゴルゴンゾーラで塩味を添えて崩しながら味わう牛ほほ肉など、ひねりのある「煮込み」か。いずれにしても素材の組み合わせがめっぽう面白く、フルーツやビネガーの酸味、ナツメグをすりおろすなどスパイス使いで「そう来ちゃう」感満載の旨さ。
シンプルなのに惹かれる軽妙洒脱なアレンジに、タクシーを使ってでも食べに行く。そんな熱烈ファンがただ今急増中だ。