brutto（代々木八幡）
とことんお客本位の地域密着型イタリアン。
東京・半蔵門〈エリオ・ロカンダ〉を皮切りに、イタリアはエミリア・ロマーニャ、ピエモンテ、シチリアの星付き店で腕を磨いた豊島昇剛さん。細長い店内にステージのように広がる広くフラットなカウンターの一等地に設置したのは、焼く、煮るが同時にできる鉄板。接客好きの豊島さんにはうってつけだ。
アラカルトメニューは肉、魚、野菜をバランスよく。入荷次第で料理内容を毎日替えるフレキシブルさ。鮮魚のカルパッチョに和のジュンサイを合わせる一方、ピエモンテの郷土料理アニョロッティは「完成されている」と、どストレートに楽しませる。夏鹿の火入れも的確で、付け合わせのカポナータも抜かりなし。かしこまらず、食べたいものを食べたいように。「好みは人それぞれ」とアレンジも厭わない、お客本位の料理人魂たるや。
「蝦夷鹿ロースのロースト」「夏鹿はさっぱりとしてクセが少ない」と豊島さん。最初に鉄板で表面を焼いてからオーブンへ。焼いては休ませを繰り返し、じっくり火入れする。仕上げは再度鉄板で焼き上げ、ローズマリーとニンニクオイルで香り高く仕上げる。付け合わせはラタトゥイユ、カボチャやジャガイモなど焼き野菜を。¥3,400。 
「三重産鰆の炙りカルパッチョ」サワラは皮目を香ばしく炙って切り身に。刻んだトマトとケッパーで酸味をプラスする。ディルの香りとカラスミの程よい塩味がいい感じ。この日は旬の秋田産のジュンサイを添えた和のアレンジで。¥1,600。 
「黒毛和牛のアニョロッティ」仔牛や豚、ウサギなどの肉を煮込んだペーストが決め手の詰め物パスタ。ピエモンテの伝統的な郷土料理を黒毛和牛のみで再現。ゆでたてをセージバターソースに和えて食べさせる。ワインが欲しくなる味わい。¥1,600。
駅近で一人客も立ち寄れる気安さ。スタッフのチームワークは抜群で、パンはいつも焼きたてだ。通うほど好きになるはず。
