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グルマン温故知新:飯田橋〈BISITO〉南仏ニースの料理に特化し激戦区で勝負

テーマごとにレストランを紹介するブルータスの人気連載。今回のテーマは「花街の小箱フレンチ」。風情ある東京の花街・神楽坂に相次いで20席以下のフレンチの両点がお目見え。長年、地域に根ざして街を盛り上げてきたシェフの原点回帰な店で、フランスの郷土色が香る味作りも魅了的。ご近所ならもちろん、わざわざ出掛けてでも味わう価値アリ!

Photo: Naoki Tani / Text: Kei Sasaki

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BISITO(飯田橋)

南仏ニースの料理に特化し激戦区で勝負。

昨年、23年の歴史に幕を下ろした神楽坂のスペイン料理店〈エル・カミーノ〉で7年、店の顔として厨房で腕を振るってきた伊藤洋平シェフが毘沙門天裏に小さなビストロを開いた。実は伊藤シェフ、それ以前はフレンチ畑で十余年修業を重ねた料理人。「スペイン料理店を」と乞われる声もあった中でのビストロ開業は、これまでの師匠やスペイン料理一筋のプロフェッショナルに対する敬意から。

メニューは4年の修業時代を過ごしたニースの料理に絞った。飴色タマネギをパイ生地にのせたピサラディエールなどの伝統料理を、フィンガーフードスタイルで名刺代わりのアミューズに。ボリューム満点のサラダニソワーズやオレンジが香るトリップ ア ラ ニソワーズも、フレンチ激戦区・神楽坂の食べ慣れた客には馴染みの味。ハーブや柑橘で奥行きや広がりを感じさせつつ、塩と火入れに迷いがない味にキャリアを感じる。熟練のニューフェイスの登場だ。

飯田橋〈BISITO〉シェフの伊藤洋平さん
伊藤シェフ。料理からサービスまですべて1人でこなす。
飯田橋〈BISITO〉店内
カウンター中心。エントランス脇には小さなテラスもある。

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