Bar a vins °E（雪が谷大塚）
駅チカ・昼飲みOKのワイン天国
「駅から徒歩10秒」は誇張にあらず。線路沿いに立つビルの2階にある店に入るとまず、ガラス張りのワインセラーの中に並ぶ開栓済みのボトル、つまりグラスで提供しているワインの数に圧倒される。店主の土井淳さんいわく、常時約40種類あるという。
「スパゲッティ ポヴェレッロ」スパゲッティと卵、チーズさえあれば作れることから「貧乏人の」という名がついたナポリ生まれの定番パスタ。〈°E〉では、コクがあると評判の徳島「たむらのタマゴ」やカルピスバターを使った“富豪”バージョンに。ニンニクや黒コショウもしっかり効いていて、アタックの強いワインと好相性。1,110円。 
アニスの香りを潜ませ、さらにレーズンを混ぜ込んで甘めに仕上げたパテに合うワインを問うと「果実味がしっかりした白。赤ならば、ボリュームとスパイシーさのあるグルナッシュもいいですね」と土井さん。850円。 
「マダムのプリン」デザートは料理上手な妻が担当。クリームチーズを混ぜ込んだ濃厚なプリンの傍らに、マルドンの塩と黒コショウ、ピンクペッパーとオリーブオイルをかけたバニラアイスクリームを添えた、甘じょっぱい一皿。650円。
美容専門学校生からミュージシャンへ路線変更。バンド活動と並行してバイトしていた飲食店でワインに目覚めた。27歳でソムリエ資格を取得し、地元のイタリアンで働いた後、友人のシェフとともに三軒茶屋に店をオープン。40歳を機に“解散”し、今年2月に独立した。
今まではソムリエ専業だったため、自分の料理を提供するのは、ここが初。当初は軽いつまみだけを出すつもりが、料理好きなことも手伝いたちまちパスタやリゾットで飲める店に。扱うワインは「ナチュラルもクラシックも、総じて優しい味わいのもの。古酒も好きですね」。
潤沢な美酒と洒脱な接客が心地よい、飲みすぎ注意な店だ。
深緑のコート姿が定番の土井さん。 
カウンターは、友人の助けも借りてコンクリートの流し込みからDIYで仕上げたという。
