Add(初台)
南仏+北欧&発酵が生むフレッシュな味わい
ずらりと並んだ何やら怪しい保存瓶は、シェフの手になる“かわいい”発酵食材たち。料理に深みや奥行きを与え、「ん、食ベたことがあるけど、遠くで不思議な香りがするぞ」などと、食べ手の五感を刺激する。
東京・初台の不動通り商店街にあるこの店、ガラス張りだから、道行く人も気になるもよう。オーナーシェフの金子武尊さんは南仏のニースとアルルで修業。アルルでともに働いた岡田伸之さんがサービスを務める。
「研究するのが好き」というシェフは、帰国後もモダン・ノルディックの手ほどきを受け、南仏と発酵のニュアンスが融合した新機軸を打ち出す。
例えば、発酵させた菊芋のブルーテというポタージュのような滑らかな口あたりの一品。発酵の優しい酸味と旨味が味の底支えになり、添えられた菊芋のきんぴらとカカオの香りが心地よいアクセントに。料理は発酵にかけた時間も含め、手がかかりすぎってくらい丁寧な仕事だ。