Wear

PR

Wear

着る

PR

〈グッド グッズ イッセイ ミヤケ〉のバッグはなぜ「使いたくなる」のだろう。Vol.1 機能を編み込んだかごバッグ「MOKKO」の秘密に迫る

使いたくなるバッグには、機能と遊び心と作り手の熱意がある。〈GOOD GOODS ISSEY MIYAKEのものづくりに迫る3回シリーズ。第1回は洗えるかごバッグ「MOKKO」の開発秘話と新作を紹介。8月にはプロダクトが一堂に会する展示も。

text: Masae Wako

道具としての根源に立ち返って見つめ直した、「いいもの」

すっと手に取れて、持つとちょっと楽しくなる。軽くて丈夫で持ちやすく、気軽に水洗いもできる。「MOKKO」は一本の糸から編み上げる無縫製のニットバッグ。このチャーミングなデザインには、〈イッセイ ミヤケ〉が考える「いいもの」の条件が詰まっている。

「いいもの」とは、使いやすくて機能的なもの。使うと楽しいもの。だからまた使いたくなるもの。そんな「いいもの」を探求する雑貨開発プロジェクトが〈GOOD GOODS ISSEY MIYAKE〉。2018年のスタート以来、さまざまなプロダクトを生み出してきた。

「〈GOOD GOODS〉の基本にあるのは、道具としての根源に立ち返ること。バッグでいうと、“ものを入れて持ち運ぶ道具”というシンプルな機能です。なので開発にあたっては、袋や箱、カゴ、網といった、昔からある“持ち運ぶ道具”の形状を見つめ直すところから始めることが多いんです。シンプルなデザインの中にも、なぜ持ちたいのか?使いやすいのか?楽しいのか?ということを常に考えながらものづくりするということを三宅一生の元で働きながら学びました」そう話すのは、数人で構成されるGOOD GOODSの企画の一人で「MOKKO」の開発を担当したスタッフ。

発想の原点はスーパーのカゴだった!?

実は、「MOKKO」が生まれたのはコロナ禍の真っ只中。ニットが大好きで、コレクションでもニットの衣服を手がけていた同スタッフが、「衣服用のニットよりも硬くて厚手のニット地で、バッグをつくりたい」と考えたのが始まりだ。ところが、ニット工場に素材の開発を相談していた最中に世の中は一変。

「外出できないし遊びにも行けないのに、果たしてバッグは要るのだろうか?」と悩んだという。が、たどりついた結論は「やっぱり必要」。ヒントは、数少ない外出先だったスーパーにあった。「買い物をしたカゴを、そのまま家に持って帰ることができたら楽しいのでは?と思いついたんです。カゴの色やデザインがお洒落だったら、気持ちも明るくなるかもしれない。いずれは通勤や遊びにも使えたらいいな……と、“普段使いできる生活のバッグ”に目を向け始めました」

ニット工場の職人と連携をはかり、軽くて持ちやすく型崩れせず、自宅で簡単に洗えるバッグをめざして試作を繰り返した。結果、ストレッチ性のある一本の糸を袋状に編む方法をもとに、無縫製のバッグを実現。社内の何人かに試用してもらったところ、「今すぐ欲しい!」という声が多かった。「少量でいいからすぐ製品化したい」と工場にかけあって、販売が始まったのが2020年8月のこと。

バッグは、自由に外出できる喜びを象徴するもの

こうして生まれた「MOKKO」は、洗えるかごバッグとして注目を集め、またたく間に〈GOOD GOODS ISSEY MIYAKE〉のシグネチャーとなった。外出に使うだけでなく、果物のバスケットにしたりキッチンリネン入れにしたり、鉢植えグリーンを入れて飾ったりと、インテリアアイテムとして楽しめるのも人気の理由だろう。

また、「MOKKO」をベースにした新しいアイテムも次々と誕生。コロンとした巾着型の「MOKKO POCKET」は、トートバッグに結び付けてポケット代わりにできるのがうれしい。ビジネスシーンにも対応する「MOKKO MONO」は、ニットの網目にハンドルやショルダーを通しただけの、無駄のないデザインが印象的だ。

MOKKO MONO
MOKKO MONO
熱融着糸を使った生地は型崩れしにくくPCを入れて持ち歩くのにも適している。内側には本体と一緒に編み上げたポケットも。横型トートバッグ39,600円 カラーは写真のオリーブのほか、ダークベージュとブラック。

さらにこの7月には「MOKKO S.C. (Seasonal Color)」や「MOKKO BI-COLOR」など、持つだけで心がはずむカラフルなバリエーションも登場した。「ニットの強みは、糸の段階からデザインできること。時代に合わせた糸の素材の選択や、編み方を変えることで表情も変わるし、挑戦のしがいがあります」と語る。

進化しているのは形や色だけではない。6月に発表された「MOKKO NET」は、役目を終えた“漁網”を再利用している。漁網を細かいチップに戻し、透明なナイロン繊維と合わせニット用の糸に改良するために、なんと約2年の歳月を費やした。「職人さんたちと協力しながら時間をかけて取り組むことで、道のない分野を切り拓いていけたのかな、と感じています」

MOKKO NETの原料。左が役目を終えた漁網。これをチップ状にしてバージンナイロンと合わせた糸をさらに改良し、ニット用の機械で編める強度や光沢をもたせた。

「心の中でずっと思っていたのは、“これを持って外へ出かけたいね!”と思ってもらえるバッグをつくること。持ち運ぶという機能を編み込んだバッグであり、外へ出かける楽しさや自由の象徴でもあってほしいと思っています」と同スタッフは言う。「MOKKO」は、外出のできないコロナ禍で、それでも人が楽しく暮らすために必要だと信じて生み出したもの。「いいもの」は使う人のために生み出され、人の暮らしは「いいもの」があってこそ豊かになる。

展示イメージ

ISSEY MIYAKE INC.