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ミャンマーから第2の故郷、日本へ。〈ゴールデンバガン〉モモさんが日本でお店を始めるまで

故郷から遠く離れた日本で、現地の味や文化を伝えるレストランを営む人たちがいる。ミャンマー出身のモモさんはどんなきっかけで日本に来て、〈ゴールデンバガン〉をオープンしようと思ったのか。そこには人と人との出会いがあり、さまざまな物語があった。

photo: Shin-ichi Yokoyama, Kaori Oouchi / text: Akiko Yoshikawa

日本は第2の故郷。神様がくれた店でできることをする

私はシャン州出身で、ヤンゴン大学卒業後、ヤンゴン外国語大学で日本語を勉強。卒業後にガイドになりました。1999年に日本に留学して、シャン民族の集まりで夫になるサイさんと出会ったんです。サイさんは10歳年上で、和食の料理人として日本で働いていました。サイさんの先輩の和食店を居抜きで譲ってもらい、2015年にこの店をオープン。私たちは、神様がくれた店だと思っています。

曙橋〈ゴールデンバガン〉モモ、サイ夫婦
日本で出会ったモモさん(左)とサイさん。

小さい頃の夢は医者でした。でもコーディネーターになって、いろんな場所に行って人とコミュニケーションを取るのが好きだったのに、店にいなきゃいけなくなるので不安でした。でもサイさんが「店を窓口にすればいい」と言ってくれて、現地ビジネスツアーや同行通訳の仕事を続けられました。

日本は第2の故郷。2021年8月に、私を日本に行かせてくれて現地で一緒に旅行会社をやっていた父がコロナで亡くなったのは悲しかったけど、日本にいながらミャンマーを助け、日本にも協力したい。両方の国に恩返ししたいんです。

ゴールデンバガン(曙橋)

シャン民族の料理を提供。現地から食材や調味料を仕入れ、豆腐や納豆、発酵させたお茶の葉など、日本人も親しみやすい味を揃える。

曙橋〈ゴールデンバガン〉パーチョ
北シャン民族の郷土料理、パーチョ1,000円。納豆の粉にニンニクや香草と白身魚を混ぜて蒸す。ハーブの味わいが特徴。