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カクテル居酒屋〈ゑすじ郎〉をオープンしたバーテンダー・後閑信吾。食中酒としてのカクテルについて話を聞く

世界一のバーテンダーにもなった後閑信吾さんは、渋谷〈The SG Club〉を筆頭に、国内外で7軒のバーを経営。カクテル居酒屋〈ゑすじ郎〉ではサワー、ハイボールなど居酒屋メニューの名を冠したオリジナルを提供する。食中酒としてのカクテルについて話を聞く。

photo: Masanori Kaneshita / text: Kei Sasaki

ドリンクメニューの主役はずらりと並ぶレモンサワー。「揚げ物用」に「ゲイシャで」「煙と塩と」と、全14種!

「日本人はよく酒を飲むのに、強い酒は苦手、ハードルが高い、とハードリカーやバーを敬遠する人が多い。飲んで飲んで、と真正面から言うより、居酒屋で気づいたらカクテルを飲んでいた、となれば近道かなと」と出店の経緯を話す後閑信吾さん。

レモンサワーといっても、焼酎メーカーと開発したオリジナル焼酎などクラフトな酒と、広島産有機レモンで作る自家製コーディアルがベース。〈The SG Club〉のカクテルに同じだ。
日本のバーはクラシックカクテルが偏重傾向にありそれが食事との距離を遠ざけているのだという。

「アルコール度数が高く、甘味、酸味、苦味、どれも強いクラシックカクテルは、料理に合わない。ならば、合うものを作ればいい」と、後閑さん。麹の旨味がある本格焼酎は和食に合うし、塩と相性のいいメスカルも、実は食中酒向き。

ハードリカーを「キレ味系」と「香りふくよか系」に分けると、食事に合わせやすいソーダ割りに合うのは前者に属する焼酎やジン。後者側のウイスキーは「個人的には合わないかな」と話すが、「副素材を足せば味が作れ、料理にも寄せられる」と、自由だ。

後閑さんはニューヨークのバーで働いていた8年前から、現地の有名店と組み、カクテルペアリングを仕掛けてきた。その一軒、〈SakaMai〉で修業していたのが〈ゑすじ郎〉料理長、古河厚志シェフ。見た目ラーメンなポテサラに、ソースでシャレ込んだ唐揚げと、居酒屋つまみの“ツイスト”も自在。

ペアリングを試すのも、好きなものを自由に合わせるのもよし。カクテルの新世界が広がる。

世界一のバーテンダー・古賀、〈ゑすじ朗〉オーナー・後閑
(右)オーナーの後閑さん、(左)NYでも長く活躍した古河シェフ。