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「それでも本を読む理由。」編集後記:本を読む≠本を読み切る

2022年12月15日発売 No.976「それでも本を読む理由。」を担当した編集者がしたためる編集後記。

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本、読んでますか?周囲にリサーチしたかぎり、本読みだった友人含め「最近読めてないんだよねー」という声が増えたような気がします。倍速で動画を見る時代に、何時間もかけて一冊の本を読む理由は、どこにあるんでしょう。と、「積ん読」が板についてしまった自分にとっても他人事ではない問いを、今回はさまざまな本好き、読書好きの方々に投げかけていきました。

取材を始める前に、本誌の連載・BRUTUSCOPEでもお馴染みのミュージシャンのTaiTanさんと、ふと、どうやって書店で本を買うか、という話に至りました。「棚も売り場も、けっこう意識的に見てますよ」というTaiTanさん。続けて「このあいだ青山ブックセンターで、(TVプロデューサーの)藤井健太郎さんとばったり会って。いろんなジャンルの本を購入されていたのが印象的でした」と教えてくれました。

多忙であり、“企画屋”でもあるお二人が、どんなふうに売り場を巡り、どんな本を手に取っているのか。コレは知りたい……ということで、今回は共によく訪れるという〈MARUZEN & ジュンク堂書店 渋谷店〉で二人に再会してもらい、いつもの買い物の様子や、本のセレクトを見せてもらいました。

このページで本を選んだ二人が「(でも)読まないかもしれない」と話をされていたのも然りですが、今号の取材を通して痛感したのは、必ずしも「本を読み切る」ことを自分に課さなくてもいいんだということ。書店に足を運ぶだけで感じられることがあるし、「積ん読」が悪いわけでもない。もちろん本を読み切った先にしか得られないものがある、というのは大前提なのですが。そう思うと、途中でページを閉じる罪悪感もなく、肩の荷が降りた気がして、かえって本に手が伸びるようになりました。

特集には読みたくなる本が続出しますが、読み切ることを前提にせず、まずは手に取ってもらえたらと思います。

「それでも本を読む理由」編集後記:本を読む≠本を読み切る
東急百貨店 本店の営業終了に伴い、2023年1月31日をもって営業を終了することが決まっている〈MARUZEN & ジュンク堂書店 渋谷店〉。閉店後に、特別に撮影させてもらいました。(撮影・安島晋作)

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