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「世界が恋しくなる料理。」特集 編集後記:日本で世界一周。料理店は、文化交流の格好の場です。

2022年4月1日発売 No.959「世界が恋しくなる料理。」を担当した編集者がしたためる編集後記。

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最近、海外出張の話をたまに耳にするようになったとはいえ、まだまだ海外に行きづらい昨今です。

昨年、できたばかりの代々木八幡<宝味八幡>に行った時、ガヤガヤした雰囲気、料理長や点心師の方達の本場仕込みの味に、10年ほど前に友達と行った香港の朝ごはんを思い出しました。こういう感じ、暫く味わってないなぁ、と。帰りがけに、ごちそうさまの代わりに「シエシエ!」と言ってみたら満面の笑みを返してくれたのが印象的でした。

今回、本国出身のオーナーやシェフ、スタッフが運営しているお店を特集したいと思ったのは、この経験からでした。その後も外国料理の店に行って、サービスの方が日本語話者なら、「この料理、どうやって作るの?」って聞いてみたりすると、あわよくば、日本語のできないシェフと通訳してくれたりして、いろんな会話に広がっていきます。リサーチで行った西葛西のインド料理店で、近くにお勧めの食材店はありますか? と聞いたら、自転車で先導してくれたこともありました(私は足で並走)。

また、「料理店で海外を感じたい」という思いだけで始まった取材でしたが、途中でロシアのウクライナ侵攻が始まり、大学の講師をしているというある店のオーナーに話を聞き、まったく違う気持ちが加わりました。

外国料理のお店に行く喜びって、珍しい料理を食べるだけじゃない、その店のもつ文化をまるごと体験して、自分とは違う視点から、世界を見せてもらうことでもあるな、と。いろんなお店に行ってみたら、ニュースでチラッと見た遠い国の話も、きっと身近に感じ、いろいろな側面から考えられるようになるのではないでしょうか。

日本に、こんなに様々な文化圏の飲食店があり、それをいつでも体験できる環境にあるのは、世界的にみても珍しいことなのではないかと思います。いろんな国の料理を食べて、気づいたら国内で世界一周できちゃいました!なんてことも。この本を見て、ぜひ行ったことのない国の料理を、体験してみてください。

本誌では、データ部分にその国の言葉で「ありがとう」と「おいしい」をカタカナで書いていますのでご活用ください。

(本誌編集担当 草野裕紀子)

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