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「世界が恋しくなる料理。」特集 編集後記:胃袋で世界を思う。

2022年4月1日発売 No.959「世界が恋しくなる料理。」を担当した編集者がしたためる編集後記。

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新型コロナウイルスによって変わってしまったことはたくさんありますが、BRUTUSCOPEの連載「ニホン世界一周メシ」が中断してしまったことは、私にとって大きな出来事でした。

作家・演出家の松尾スズキさんが東京にいながら世界各国の料理を食べる、という内容で全22回・約2年間にわたって続いた連載は、複数人で会話しながら飲食を伴う取材をすることが難しい状況で、継続が難しくなってしまいました。

今号の「世界各国の料理を日本で食べる」「食を窓口に世界とつながる」というテーマは、「ニホン世界一周メシ」と共通したものです。であるからには、ぜひとも松尾さんにご登場いただきたい……と、稽古中で多忙の松尾さんに無理を言い、特集に寄せて、連載を振り返る文章をご執筆いただきました。以下、印象に残った一節を引用します。

「世界の料理を食うということは、世界の歴史や地政学を体に入れることでもある。歴史というものは頭からばかり感じとるものではない。直接身体にコネクトする説得力が食うという行為にはあって、知は見えないが、食は血肉となるのだ。」

ぜひ本誌で、文章全体も読んでみてください。歴史に関する本を読む時、国際情勢に関するニュースを見る時、その国のものを食べたことがあるだけで、より身近に、自分と地続きの世界のこととしてリアルに感じるのだなぁと、連載や今回の取材で実感しました。食べることは、つながることです。

鴨志田早紀(本誌担当編集)

曙橋のミャンマー料理店〈ゴールデンバガン〉
連載第一回で訪れた曙橋のミャンマー料理店〈ゴールデンバガン〉。特集本編では店主のモモさんが登場し、母国を離れ日本でお店を始めるまで、そして始めてからのことを話してくれています。

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