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〈diorama〉店主・平尾ダニエル甲斐のご贔屓ソフトクリーム

食べるのはほんの数分でも、食べた時の記憶はいつまでも色褪(あ)せないのがソフトクリーム。〈diorama〉店主・平尾ダニエル甲斐の心に鮮烈な印象を刻みつけた“ご贔屓(ひいき)ソフト”とは。

illustration: Yoshimi Hatori / text&edit: Emi Fukushima

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幼心を刺激した、シャリッとした口当たりと爽快な景色

ご贔屓ソフトクリーム:〈清泉寮〉の清泉寮ソフトクリーム

平尾ダニエル甲斐イラスト
敷地内にある牧場で搾った有機ジャージー牛乳を使用。450円。宿泊施設なども併設。

山梨県の長坂エリアで育った僕にとって、清里高原は小学校の林間学校の行き先。吐竜の滝からハイキングをし、最終目的地が〈清泉寮〉でした。そこで食べた有機ジャージー牛乳のソフトクリームは、登り終えた達成感と開放的な景色も相まってすごくおいしかったことを覚えています。

再訪は2年ほど前。大人になって食べると、濃厚ながらもシャリシャリとしてさっぱりとした口当たりで、当時心を掴(つか)まれたのは味の特別さも影響しているのだと実感しました。と同時に昔を思い出し懐かしく儚(はかな)い気持ちにも。〈diorama〉からは車で20分ほどですが、週末は人気で寄りつけないほど。多くの人を惹きつける絶品ソフトですが、僕にとってはノスタルジーを象徴する味です。

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