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〈ブルーノート・レコード〉ドン社長が駆け抜けた東京のジャズスポット。新旧3つの名店を巡る

小誌の特集「JAZZ is POP!!2024年、あなたが聴くべきジャズ250」内のドン・ウォズ氏へのインタビュー時に、「日本のジャズが体感できるお店を紹介してほしい」というリクエストがあった。2025年の5月中頃、東京を訪れたドン氏と合流、念願の東京ジャズツアーが実現した。

photo: Naoto Date / text: Katsumi Watanabe

ドン社長!東京のジャズはいかがですか?

編集部内で厳選した3店舗の中から、まずは日本のジャズのレコードを、ヴィンテージのサウンドシステムで聴かせるリスニングバー〈濤 TOH〉へ向かった。

今年3月、セレクトショップ〈NUBIAN〉を経営するCOMBO氏がオープンした、ハイエンド機材と、ヴィンテージの日本のジャズのレコードのみの選曲が楽しめるリスニングバー。
現在はInstagram(@toh_listening_bar)のDMでの予約制。所在地非公開。

「ワォ!〈Ojas〉のスピーカーじゃないか。設計者のデヴォン・ターンブルが機材設置もしたというから、音響は間違いない。国安良夫4『Thermal』(1982年)を聴いたけど、日本の民謡に近いメロディや打楽器の使い方など、アメリカのジャズの模倣にとどまらない独自性を感じた。〈Three Blind Mice〉から発表された、鈴木勲や今田勝らのアルバムは、どれも素晴らしい。ブルーノートの音源を復刻する『Tone Poet Series』から、ライセンスリリースしたいくらいだ」

高いテンションのまま、ヴィンテージレコード店〈Hal's Record〉へ。

池田晴彦氏(写真左)・陽介氏(写真中)の親子で運営する、2000年に開店したヴィンテージ・ジャズレコード店。陳列されたレア盤を前に、口元と財布の紐が緩むドン氏。
住所:東京都新宿区西新宿7-10-17 新宿ダイカンプラザB館 306|地図

「こんな盤質の良いヴィンテージが揃っている店があるとは衝撃だよ。ヨーロッパの作品など、見たことのないものも揃っている。63年に日本のみで発売された『Monk In Tokyo』を、安く見つけたから即買いしたね。アメリカ人は盤の扱い方が乱暴だから〈Hal's Record〉を見習ってほしいよ」

最後に、毎日のように繰り広げられるセッションから、多数の音楽家を輩出している〈JazzSpot Intro〉へ。

1975年創業の東京におけるセッションの聖地。多くのジャズ音楽家を輩出。現在は海外客がオープン前から列を作ることも。ドン氏と話すのは店主の茂串邦明氏。演奏日程は公式HPで随時発表。
住所:東京都新宿区高田馬場2-14-8 NTビルB1|地図

「演奏スペースと客席がフラットで、サックスの6インチ先に、満員のお客さんがいる状況なんて、アメリカではあり得ない(笑)。アンダーグラウンドの熱気からは、50年代のビートニクのシーンを想像したよ。即興演奏から、音楽家たちの創造性が培われていく。僕が10代だったら、間違いなく入り浸っていただろうな。今日聴いたセッションのベーシスト、トランペッター、ハーモニカ奏者。そして、ドラマーの中村海斗の演奏も最高だったね」

東京のジャズを体感した感想は?

「お店自体は、アメリカに比べると狭い。その分、手入れが行き届くため、音楽の聴かせ方、レコードの並べ方に創意工夫が凝らされている。〈濤 TOH〉以外は、建物も古そうだけど丁寧に使われていて、清潔感がある。LAで築30年以上のビルなんて、もっとボロボロで、ドラッグの売人しか使わない(笑)。ミュージシャンたちの演奏力は申し分ないし、マナーも素晴らしいと感じた。〈JazzSpot Intro〉みたいな場所で演奏していれば、度胸もつくだろう。そんなシーンを体験できて十分収穫があった。

今回、東京へ来た別の理由もある。YouTubeの『Kabukicho Live Channel』にハマって、“歌舞伎町が見たい!なんなら自分も映りたい”と思って、来ちゃったんだ。今のアメリカは最悪だから、東京へ引っ越してきたいくらいさ(笑)」