本棚やベランダに飾る。ふと見た時、そこにあるように。
「好きな石は、すぐ眺められる場所に置いておきたい。写真やグリーンを飾るのと同じ感覚です」
鉱物好き写真家の山口恵史さんがそう語る。アートブックが並ぶ壁一面の本棚には、ガツンと大きめのアメシストが2つ。そのマッシブで硬質な造形と、本やオブジェや古い酒瓶とが混然一体となった風景のカッコよさといったら!
部屋の片隅には遺跡のような古道具。ジョエル・マイロウィッツのプリントとともに飾ったのは、マダガスカル産水晶だ。
「時代を超えて朽ち果てたものや、計算なく生まれた自然の造形物に惹かれます。そういうもの同士を組み合わせて場所を作るのが好き」
例えばベランダの植物と並べたのは、自然光を受けてキラキラ輝く氷砂糖のようなアポフィライト。
「磨かれた石より、“自然のままでこんなにきれいな色なんだ!”みたいな石にぐっとくる。オーストラリアへ行くとヒッピータウンのフリーマーケットでよく売られてるんですけど、山で採ってきた原石を紙切れに巻いて“はい20ドル”って。そういう石の姿に愛着が湧くんです」