同系色のアートや陶器と合わせるモダンディスプレイ
鮮やかな緑のトルマリンやカルサイトの隣には濃緑の織部焼。アメシストと一緒に並べたのは、紫色の花を写した一枚の写真。
「鉱物を飾る時は、同系色のアートや陶器を合わせます。生活空間では、色の数を絞った方が落ち着くので」と話すのはファッションブランド〈SEEALL〉の瀬川誠人さん。伝統的な手編み技術でニットを作るためにアルゼンチンへ行くことが多く、自宅にある鉱物は現地で買ったものがほとんどだ。
飾る場所は、1950~60年代の名作や90年代のデザイナーズものなどモダンな家具。例えば、ジョージ・ネルソンの黒い棚にモノクロームの平面作品と灰釉の花器を置き、さて、石はどう選ぶ?
「ここに単結晶の鉱物だけだとすっきりしすぎてしまうので、造形にも質感にもクセのあるパイライトを合わせ、バランスを取っています」
多忙で煩雑な日々を送っていると、情報から切り離されたものを身近に置きたくなる、と瀬川さんは言う。
「僕たち人間の意思の及ばないところでこんなにも美しい存在が生まれている。そのことに救われるんです」