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〈NOAH〉ブレンドン・バベンジンとワークウェア「使い方次第で、どんなものもワークウェアになり得る」

ストリートブランドでありながらテーラードジャケットを作ったり、フォーマルな生地にこだわるなど新しいストリートウェアの形を提案し続ける〈NOAH〉。そのファウンダーのブレンドンのワークウェアの定義はとても自由だ。

Photo: Mark Hartman / Text: Momoko Ikeda

ワークウェアといえば、建設現場などで穿かれるカーペンターパンツみたいに、実際に仕事をする職人たちのために作られたアイテムを思い浮かべる人が多いと思うけど、僕の場合は、アイテムの使われ方次第ではどんなものもワークウェアになると思っているんだ。

例えばオスロのノルウェー王宮の近くのグローブ専門店の豚革のグローブは、とても高価で新品の時はかなり上質なドレスグローブに見えるものだった。それを僕は何にでも使っているんだ。ディナーに行く時に仕立てのいいコートと合わせることもあれば、木工作業をする時に使ったり、冬のランニンググローブにすることもある。

とても柔らかくて丈夫だから、まるでワークウェアのように作業から日常の防寒まで万能に使える。もうかれこれ12年は使っていて、縫い目はほつれてきてしまってるけど、革自体は決して裂けたりしないんだ。

ファッションブランド〈ノア〉レザーグローブ
スウェーデンのレザーグローブはギフトでもらったもの。

僕がワークウェアを参考に服をデザインする時は、まずその機能性は決して取り除かない。ワークウェアをファッション化させる時にその見た目だけを取り入れて機能性を引き継がないことが多いと思うけど、僕らはそうじゃない。そしてよりよい素材を取り入れるようにもしている。

例えばワークジャケットにも上質なシーアイランドコットンを使ったりね。とても滑らかで柔らかく強い耐久性もある生地なんだ。それによって特別扱いしなくてもいい高品質なものになる。NOAHとして僕らが作ってるものは、一緒に人生を生き抜いてくれる長く使い続けられるもので、特にワークウェアのカルチャーを背負ったアイテムにおいてはなおさらそう思う。

本当のワークウェアよりも欲しいと思わせるものを作るのは難しいけど高品質なファブリックを使うということは解決策の一つだと思う。

ミリタリーウェアについては、実際に戦時中に使われていた1940~50年代のオリジナルのデザインよりも、その後に若いキッズたちがそこにパンクやスケボー、ヒップホップなどのカルチャーを加えて作り上げた新しいスタイルの方が気になるね。

ミリタリーがそもそも持ち合わせている機能性や男らしいタフさをパーソナルなスタイルに落とし込んでいるのが面白い。裏表逆だったり、オーバーサイズだったり、定番の着こなし方を裏切るようなスタイルに惹かれるよ。僕が10代の時は、ミリタリーのカーゴパンツをジョーダンやコンバースと合わせたりしてたしね。

今シーズンNOAHでは短めの丈のアイゼンハワージャケットを作ったんだけど、それは80年代のNYでニューウェーブバンドが短めのミリタリージャケットを着ていて格好良かったという僕の記憶がきっかけなんだ。

ファッションブランド〈ノア〉デザイナー ブレンドン・バベンジン
NYのSOHOにある事務所で。社内にはブレンドンのヴィンテージアーカイブが保管される部屋も。