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本当においしいアジフライを探せ!東京のアジ自慢の名店2軒

おかずによし、つまみによし。醤油でよし、ソースやタルタルも捨てがたい。たかがアジ、されどアジ。魚のフライ一つでこんなに話が広がるのはアジフライだから?お気に入りの一皿ができればもう大人。アジ自慢、味自慢の名店へ。

初出:BRUTUS No.867『おいしい魚が食べたくて。』(2018年4月2日発売)

photo: Shin-ichi Yokoyama / text: Kei Sasaki

京ばし 松輪(京橋)

生きたアジから生まれるふっくら食感

誰もがよく知る料理ほど、魚の良さや違いが伝わるはず。魚自慢の割烹料理店が、アジフライ定食一本のランチを始めたのはそんな思いからだった。瞬く間に「アジフライの店」として名をとどろかせるようになり十余年。昼の行列は途切れることなく今日に至る。

東京湾で揚がるアジを生きたままおろし、一晩寝かせて使用。余分な水分を出しながら徐々に身が締まり、加熱した時にふっくらとした厚みが出る。刺し身で食べられる新鮮さゆえ、揚げ時間は一瞬。皿に盛り、テーブルへ運ぶ間に、余熱で火が入る計算だ。

香りの強いソースをかけると魚そのものの味が半減するので、大根おろしとワサビ、醤油でどうぞ、というスタイル。さっぱり、ツンと香るワサビの奥から、ジューシーな魚のおいしさがあふれ出す。中骨を揚げたせんべいが付くのも、ちょっと得した気分。

ポンチ軒(御茶ノ水)

ラード入りの油で揚げたサクッと衣が肝

とんかつの店として名高いが、前身は赤坂にあった洋食店〈フリッツ〉。その名残か、とんかつ以外の料理も評判が高い。メンチカツにクリームコロッケ、カレーなど、どれもきちんと作られた丁寧な味。アジフライもしかり。熱狂的なファンを持つ隠れた名物である。

まず、衣が旨い。粗めのパン粉をたっぷりとまぶし、しっかり色がつくまで揚げてある。かぶりつくとザクッと音がするほどの香ばしさだ。秘密はやはり“揚げ仕事”にあり。〈ポンチ軒〉では、とんかつは植物油で軽やかに、アジなどの海鮮類は、ラード入りの油を使い、高温、短時間で一気にリッチに揚げるのだという。アジは、よく脂がのった大ぶりのものが使われていて、パンチのある衣とのバランスが秀逸。食べ応えも大満足だ。卓上にはソースが2種、小皿でポン酢とタルタルソースが付くので好みの味つけで。