これぞカレーの魅力
・とにかく、食べたら元気になれる!
・アジア諸国のカレーは個性豊か。
・ブームを経て淘汰&成熟の予感。
「カレーは飲み物」とはよく言ったものだが、AKINO LEEさんにかかれば「カレーは空気」。いわく「空気同様に、あって当たり前のもの。ないと命に関わる⁉と思うほどの存在なんです」。
そんな思いが極まって、今では1日3食カレーあるいはカレー味の何かを食べるまでに。そこまで魅せられているのは「単純に、食べると元気が出るからですね。毎食カレーと決めてからはコンディションが整って、毎日平和です」。カレーに使うスパイスにはさまざまな効能があるといわれるから、腑に落ちる。
カレー界の潮流を捉えてきたAKINO LEEさんによると、2003年にオープンした京橋〈ダバ・インディア〉が火つけ役となった2010年頃からの南インド料理ブームが、日本におけるカレーの多様化のきっかけという。
たしかに、乳製品を使い濃厚な北インドのカレーと、ココナッツミルクやタマリンドを多用しサラリとした南インドのカレーとでは、同じインドでも大違い。そこから派生して「大久保で花開いたネパールカレーや大阪から火がついたスリランカカレーなど、エリアごとに異なる個性が認知され、定着しました」。
大阪発といえば「スパイスカレー」「間借りカレー」も重要なキーワードだ。今回推薦の〈ラナンクルス〉も、歌舞伎町のバーで営業する「間借りカレー」。しかも、定番のスパイスカレーとスリランカ風カレーを提供している。
「開業直後から食べていますが、来るたびに進化しています。だしの効かせ方や果物の取り入れ方、彩りと味の構成などバランス感覚に優れていますね」と太鼓判。
ほかにも、タイで話題を呼んだモダンインディアン〈ガガン〉(現〈ガガン・アナンド〉)に端を発したモダンなアプローチの高級店など、多種多様なカレーが出尽くして層が厚くなったといえる現在のカレー界。
インスタグラム向けの“映え”や、奇抜さが若干先行していた時期もあったが、今後はお店の個性は生かしつつ味に磨きをかけて原点回帰するはず、とAKINO LEEさんは予測する。
最後に、餃子派へのメッセージも。「ネパール版の餃子であるモモを食べてみてほしいんです。蒸し・揚げ・スープモモといったバリエーションは餃子そのもの!例えば、大久保〈ラトマト〉はさらに種類が豊富です。もちろん、ネパールカレーもぜひ。モモを媒介に、カレー派と餃子派はわかり合える!」