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世界からお届け!SDGs通信 香港編。理由不問の無期限有給休暇はいかが?

毎号、世界中から届いた旬の話題を紹介しているBRUTUS本誌の「ET TU, BRUTE? CITY」から出張企画。世界中の約30都市から、今一番ホットなSDGsに関する取り組みをお届けします。今回は香港から!

text: Miyako Kai / edit: Hiroko Yabuki

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理由を問わず、好きなだけ。2〜3ヵ月の休暇を取得した猛者も!

勤勉で仕事熱心な人が多い香港。上司より早く帰ることにはまったく問題がなく、個人主義が日本より徹底しているイメージがあるにもかかわらず、競争の激しい社会のためか、ワーク・ライフ・バランスの充実度では世界40都市で行われた調査で35位と、東京の39位よりわずかに上という、決して望ましくないレベルだ。

エリート社員が集まる金融系企業といえば、高給ながら激務が当たり前。そんなか、1969年創業で2022年6月時点での総資産が約8330億円という名門企業の新鴻基有限公司は、社員のワーク・ライフ・バランスを重視した新制度として、有給休暇の日数制限を廃止した。休暇取得に際して、理由は一切不問。取得条件は、休暇中の仕事引き継ぎが完了していることのみで、新入社員でも試用期間さえ満了していれば対象になる。制度の発足以来、年間目標を早めに達成して2〜3ヵ月の休暇を取得した社員も数名いるとか。

社員のモラルへの信頼がベースになったというこの制度、現在までに悪用の事例などは報告されておらず、社員の士気が高まった成功事例として伝えられている。果たして、香港の他社や日本の企業に取り入れることはできるか!?

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