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いま飲むべき!クラフトビール【HAZY IPA】〜後編〜

アメリカ東海岸発祥のため、ニューイングランドIPAの別名もあるHAZY IPA(ヘイジーアイピーエー)。ウェストコーストIPAにはない濁りが生む、柔らかな飲み口が魅力。「いま飲むべき!クラフトビール【HAZY IPA】〜前編〜」も読む。

Photo: Keiko Nakajima, Wataru Kitao / Text: Yumiko Ikeda / Edit: Ai Sakamoto

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Hazy Little Thing(ヘイジー リトル シング)

ヘイジー リトル シング)

ブルワリー:シエラネバダ ブリューイング (アメリカ)

無濾過製法が生むアメリカンホップの華やぎ。

1980年にアメリカ・カリフォルニア州シエラネヴァダ山脈の麓で創業。西海岸発のクラフトビールムーブメントの立役者として名の知れた存在。このビールは発酵と熟成を経た麦汁を濾過せず、濁った状態で缶詰めにされる。液に残った2種類のホップと酵母が生む柔らかな舌触りが、IPAの苦味成分を包み込むため、アメリカンホップ、シトラのトロピカルフルーツやライムに似た風味が、鮮やかに立ち上がる。「もう一種のホップ、コメットの青々しい香りも爽やか」(木暮)。355㎖ ¥628。

ナガノトレーディング

TEL:045-315-5458
HP:www.naganotrading.com/

Jakehead(ジェイクヘッド)

Jakehead(ジェイクヘッド)

ブルワリー:ワイラム ブルワリー(イギリス)

英国のブルワーが濁りに醸す、モルトの甘味。

イングランド北東端のワイラムで2000年に創業し、今はニューカッスルに醸造所がある。イギリス伝統のポータースタイルを踏襲した「Imperial Macchiato」と、シムコー、チヌーク、シトラの3種のアメリカンホップを大量に使ったこのヘイジーIPAがシグネチャーだ。「トロピカルなフレーバーの濁りビール。モルトの甘味とホップの苦味のバランスがよく、ぬるくなっても少しずつ、チビチビ飲んでも飽きないのは、イギリスのビールならではと言えます」(田嶋)。440㎖ ¥1,146(編集部調べ)。

レディバード・トレーディング

Nagi(ナギ)

Nagi(ナギ)

ブルワリー:ブラックタイドブルーイング (宮城)

オーツ麦由来の濁りが、スムーズなヘイジー。

東日本大震災からの経済復興を目的に、2020年に開業した醸造所。アメリカ人のヘッドブルワー、ジェームズ・ワトニーは、アメリカ・ポートランドの新進気鋭の醸造所〈Culmination Brewing〉出身で、三重〈伊勢角屋麦酒〉で実地研修の経験も。このビールではオーツ麦の配合を増やして、タンパク質が生む濁りでホップの苦味をセーブ。大量に入ったモザイクなど3種のホップからは、穏やかな果実のフレーバーが滲む。「後味がスッキリした親しみやすいヘイジーです」(木暮)。350㎖ ¥650。

ブラックタイドブルーイング

TEL:080-4935-2931
HP:blacktidebrewing.com/

LUPULIN NECTAR(ルプリン ネクター)

LUPULIN NECTAR(ルプリン ネクター)

ブルワリー:ワイマーケットブルーイング (愛知)

柔らかな果実の風味と、シャープな苦味が漂う。

「名前のごとく、ネクターに似たとろりとした舌触り。シトラスやマンゴーを想起させる、果実のフレーバーも楽しめます」(木暮)。発酵過程で大量投入される米国産モザイクなどのホップは、酵母と強固に結びつくことで、その芳香と果実味が強調される。また心地いい苦味も訪れ、よきアクセントに。2014年に名古屋で創業したこちらは、西海岸スタイルの「ヒステリックIPA」なども人気でホップ使いには定評がある。名古屋駅前の直営店には全国からビールファンが集う。370㎖ ¥660。

ワイマーケットブルーイング

TEL:052-908-0758
HP:craftbeer.nagoya/

ねこにひき

ねこにひき

ブルワリー:伊勢角屋麦酒(三重)

伊勢名物の醸造所が、西海岸のブルワーとコラボ。

戦国時代に伊勢神宮前で創業した茶屋〈角屋〉にルーツを持つ老舗醸造所が、アメリカ・ポートランド〈Culmination Brewing〉とコラボしたビール。「トロピカルフルーツ入りのホップジュースを飲んでいるような驚きと、度数8%と思わせない抜群の飲みやすさ。私がヘイジーに目覚めた一本です」(コウゴ)。柑橘フレーバーのアマリロなど5種のホップを大量投入しながら、苦味を抑えた柔らかな味わいに仕上げる。商品名は、両ブルワリーのオーナーが猫好きであることに由来。330㎖ ¥880。

伊勢角屋麦酒

TEL:0596-63-6515
HP:www.biyagura.jp

Morning Summer(モーニングサマー)

Morning Summer(モーニングサマー)

ブルワリー:ライズ アンド ウィン ブルーイングカンパニー (徳島)

地元特産の柚香と、ドイツ産麦芽が穏やかに香る。

町を挙げてゴミ削減に取り組む徳島県上勝町にて、2015年5月30日(ごみゼロの日)に開業。規格外の鳴門金時やパンの耳を再利用して、ゼロウェイストのビール造りに挑戦する。町の特産品、爽やかな酸味のユズとダイダイの自然交配種・柚香を使ったビールは、ホップと燕麦が生む濁りが特徴的。セッションスタイルで度数は低く、米国&ニュージーランド産のホップ、またウィートモルトなどのドイツ産麦芽がふくよかだ。「軽い口当たりで、朝から飲みたくなります」とコウゴ。330㎖ ¥660。

ライズ アンド ウィン ブルーイングカンパニー

TEL:0885-45-0688
HP:www.kamikatz.jp/

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