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日本一コスモポリスな港町へ。“食べに行ける外国”のある町、神戸 〜後編〜

明治時代からの洋館が立ち、日本三大中華街の一つを擁する。そして実はかつて、日本一大きなインディアンコミュニティが形成されていたという。港町・神戸は、多くの人に開かれた、懐深いおいしい国際都市。その開かれた精神は、現在も健在です。前編はこちら

photo: Satoshi Shiozaki, Satoshi Yasugouchi (Gran Micaela y Dago) / text: Keiichi Tanaka, Ryoko Sato, Kaori Funai

ALI’S HALAL KITCHEN

ハラール100%対応、名物のビリヤニを

ハラール認証取得の食品だけを用い、ムスリムの戒律に則るレストラン。来日21年になる店主のイリヤス・アリさんならではの味を求め客足が絶えず、なかでも人気がマトンビリヤーニ。

〈ALI’S HALAL KITCHEN〉調理作業

ブラッククミンほか15種の香辛料を用いたマトンマサラと、バスマティライスを幾層にも被せて炊き上げる。米はふんわり、ぱらりとした食感で、マトンの旨味や鮮烈な香りが交互に。

「極力、油は使わない」とアリさんが言うだけあり、円形のナンと共に味わうコフタ(鶏肉団子入りカレー)も食後感は清々しい。「週に数回来る」という同郷の常連の言葉に、納得。

JAMAICANA

元・歌手の店主によるジャマイカの国民食

レゲエのBGMが流れるフロアで迎えてくれるのは、店主のノエル・ウインストン・リンズィーさん。世界中をツアーで駆け巡っていた元ミュージシャンだ。妻のみどりさんと東京で出会い「神戸は住みやすい」とこの地に自店を構えて24年になる。

〈JAMAICANA〉シェフのノエル2

ジャマイカ料理は、辛さ控えめのスパイス感が魅力。香味野菜と唐辛子などがベースのスパイスを絡めたジャークチキンをはじめ、ジャマイカの果実・アキーと塩ダラをソテーした「アキー&ソルトフィッシュ」を、ラムなどと共に楽しみたい。

Gran Micaela y Dago

開業約半世紀、日本初のチリ料理店

先代店主のダゴベルト・メリリャン・ハラさんは、海軍でエンジニアとして活躍。仕事で世界を巡る中、偶然訪れた神戸で、領事館に勤める妻の満子さんと出会った。そんなエピソードも神戸らしい。48年前の開業時から「国旗を掲げる以上、この店はチリであるべき」と、現地の味をそのまま提供。

〈Gran Micaela y Dago〉調理作業

塩と少量のスパイス、たっぷりのコリアンダー使いなど、スペインから影響を受けた素朴な味が特徴だ。また南北に4,000kmにも及ぶ国土による山海の恵み豊かな食材も魅力。現在は息子のクリスティアン・メリリャン・一色さんが、その味を受け継ぐ。

JINA

5,000年の荘厳な歴史を体感できる

「母なるナイル川が育む野菜や地中海の魚介など、エジプトは食生活豊かな国。砂漠ばかりのイメージは誤解です」と藤原ジーナさん。カイロで生まれ、数々のホテル勤務を経て11年前に独立した。紀元前から詳細な記録が残されているため、古代料理は今も家庭や街中で広く愛されているそう。

〈JINA〉調理作業

酵母を使う発酵パン発祥の地であるエジプトの「フティール」もファラオの時代、神に供えられていたというパン。このほか、祖母から学んだエジプトの地中海料理に、ホテル仕込みの技術を加えた一品が多数。旅気分に加え、古代に思いを馳せること必至だ。