3つのポイント
- 1億本の箸をアップサイクルし家具や雑貨に。
- 9ヵ国92ヵ所でフランチャイズ工場を展開。
- 家具や雑貨、住宅のリノベーション素材にも。
カナダ発!使い捨て箸を再利用するSDGsなスタートアップ
使い捨ての箸に第2の命を吹き込む企業がカナダにある。創業者のフェリックス・べックは、大学および大学院で木工学を学び、ドイツの総合化学メーカー〈BASF〉にて竹ベースの繊維複合材の研究開発者として勤務した経歴の持ち主。アジアのフード文化を敬愛し、自らの体験の中で“箸の矛盾”に気づいた。
「使い捨て箸は数分の用途のために製造破棄される一方、夫婦箸や幸せの橋(箸)渡しのような特別な意味を持つ。もともと同じ資源なら、捨てられた箸も特別な製品に再生できる」と踏んだのだ。その後、竹の構造学でブリティッシュ・コロンビア大学の博士号を取り、2016年に〈CHOPVALUE〉をたった1人で起業した。
世界9ヵ国、92ヵ所でフランチャイズ工場「マイクロファクトリー」を展開。輸送エネルギー削減のため、箸の調達、製造、販売まで現地で行う業務形態をとる。ライフスタイル雑貨からオフィス家具、店舗や住宅用の素材まで、デザインから一貫して生産している。現在は40人の本社社員がおり、工場で働くスタッフの数を合わせると100人以上の規模にまで成長した。
製品はカナダを代表する小売企業〈Hudson's Bay〉でも取り扱いがあり、各主要都市で実際に手に取ることができる。創業以来、製品化してきた箸の数は、なんと1億本余り。年間140億膳の使い捨て箸を消費する“割り箸大国ニッポン”は、彼らが目指す最大のゴールだという。