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「おいしく、無駄なく」ゼロウェイスト。ヴィーガン大国ドイツの〈フレア・ベーカリー〉

日本に来て来て、あの店、このサービス!今回はドイツの気になるサービスを紹介。

photo: Shinji Minegishi / text: Akiko Watanabe / edit: Hiroko Yabuki

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3つのポイント

1.契約農家の食材を使ったヴィーガンカフェ。
2.余った食材はコンポスト処理し廃棄物ゼロ。
3.パンは職人によるサワードウブレッドのみ。

「おいしく、無駄なく」な
ゼロウェイストのベーカリーカフェ

世界有数のヴィーガン大国と呼ばれるドイツ。とりわけベルリンのヴィーガン人口はここ数年の間増え続けており、街のカフェに動物性食材不使用メニューの選択肢があることも少なくない。

そんななか異彩を放つのが、今年の春にオープンした〈Frea Bakery〉だ。「ヴィーガン対応とゼロウェイストは必ずしも不可分ではありませんが、私たちはその両方を徹底したかったのです」とオーナーのヤスミン・ズーヒー。掲げるモットーはずばり「おいしく、無駄なく」。プラスチック製のカトラリーを一切使用せず、朝食やランチは完全ヴィーガンメニュー。

パンに野菜とヴィーガンチーズ、ポロネギとパセリの自家製オイルをかけたFlatbread Toast(9ユーロ)。
パンに野菜とヴィーガンチーズ、ポロネギとパセリの自家製オイルをかけたFlatbread Toast(9ユーロ)。

ほとんどの食材はベルリン郊外でサステイナブルな農業に取り組む契約農家のもので、余ったら店内に設置された専用マシンでコンポスト処理。機械の上部から投入したら、24時間以内に貴重な堆肥となり、それを取引先の農家に分配するという、無駄を出さない好循環を作り上げた。

厨房で焼き上げるパンは、パン種に乳酸菌と酵母を主とする微生物を培養させるサワードウブレッド。小麦粉と全粒粉を使ったハード系からペストリーまで。なかでもカリッと香ばしいクロワッサンは売り切れ必至だ。食の多様性やゼロウェイスト、地産地消という、今後私たちが真剣に取り組むべきトピックを気負わず、一手に引き受ける〈Frea Bakery〉。日本の飲食業界でも、このスタイルが主流になる日が来るかもしれない。

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