3つのポイント
1.戦前に百貨店だった建物をリノベーション。
2.調味料や地酒など、地域ゆかりの商品を販売。
3.料理教室や食に関する書店など、学びの空間も。
文化遺産の百貨店が、地元の逸品を届ける複合施設に
湾北西部に位置する新竹市。ハイテク産業の拠点として知られる一方、歴史的建築物が数多く残り、独特な風情に包まれている。ここで今、注目を集めるのが2024年3月にオープンした複合施設〈或者新州屋〉だ。建物は日本統治時代の1934年に創設された舶来品を扱う百貨店〈新州屋〉を再整備。ライフスタイルブランド〈或者〉が運営を手がける。
創業者の陳添順はIT企業経営者だったが、近年は地域文化の興隆に尽力している人物。新竹のシンボル的な存在だった建物が荒廃するのを憂い、3年の歳月をかけて蘇らせた。
館内は地場産品、料理、文化交流を軸とし、地域創生を試みている。
1階のセレクトショップではビーフンなどの特産品から、地元素材を取り入れたオリジナル調味料、台湾産クラフトジン、地酒や特製タレを用いたマカロンなどを販売。2階のビストロでは地場産品である柑橘ソースを添えたブリオッシュなど、土地の味覚を融合させたフュージョン料理や、点心類や甘味を添えたアフタヌーンティー、カクテルも楽しめる。3階のキッチンではご当地料理を学べる教室が催され、食に関する書物を扱う書店も併設。4階のイベントスペースでは地元アーティストによる企画展示など様々な催しが行われる。
ここ数年「ローカルこそグローバル」と謳われ、地域の魅力を発掘し、海外に発信する動きが盛んな台湾。ここはその潮流のロールモデルとして期待されている。