民藝の名空間で伝統の一杯を
北海道や京都から信州まで、日本全国の蒸留所を巡る旅をするほどウイスキーが好きなので、カクテルを頼む時はいつもオーソドックスなオールド・ファッションド。中でも〈リーチバー〉の一杯は唯一無二、別格です。
甘味と苦味のバランスが良くて味のクオリティが高いのはもちろん、BGMのない静謐(せいひつ)な雰囲気やバーテンダーのきりりとした所作にも、おいしさの秘密があるように感じます。この味と出会ったのはもう30年以上も前。
当時、民藝運動について勉強していたこともあり、「陶芸家バーナード・リーチのデザインをもとに、建築家の吉田五十八(いそや)が設計したバーがある」と聞いて訪ねたのが始まりです。椅子は英国式のウィンザーチェアで、壁には河井寬次郎や濱田庄司、棟方志功など民藝のスターの作品。場の雰囲気作りに少しでも貢献できるよう、ふさわしい服装で行くことも心がけています。
〈リーチバー〉のオールド・ファッションド