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覆面文筆家・麻布競馬場の2軒目の始まりにふさわしいカクテル。苦くてまずい“食前酒2.0”

背筋を伸ばしていただくちょっと緊張する飲み物から、カジュアルに楽しめるようにもなったカクテル。今、覆面文筆家・麻布競馬場さんが選ぶとっておきの一杯は?

photo: Shinsaku Yasujima / text: Neo Iida

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2軒目につなげるための、苦くてまずい“食前酒2.0”

1軒目もしっかり飲むタイプなので、2軒目の始まりにふさわしい一杯をずっと探していました。例えばお寿司屋さんに行ったら、瓶ビールから始めていったん締める。そこから2軒目にどう接続するかという時に、“食前酒2.0”が必要なんですよ。

カンパリなど色々試したのですが、厚みや重みに欠けるなと思っていたところに、友達がフェルネットブランカの存在を教えてくれたんです。「世界一苦いお酒」ともいわれる、ハーブのエキスを抽出したイタリア生まれの薬酒。かなり苦いですがバランスが良いんですよ。苦味できちっと締めつつ、青草っぽい清涼感もある。2軒目も飲酒をするぞ、という覚悟を作ってくれるんですよね。自分を引き締める意味でも、どこかで“まず味”を求めてる。僕は愛を込めて「苦くてまずい酒」と呼んでいます。

現行のものも好きですが、〈Aliviar〉でいただく1970年代のフェルネットブランカは絶品。さらにマスターの長谷川龍史さんの手にかかると苦いながらもまろやかな口当たりに仕上がる。このお店の真打ちはマティーニだと思っているので、姿勢を整えて次に臨むための貴重な一杯です。

恵比寿〈アリビアール〉店内
〈Aliviar〉のフェルネットブランカのソーダ割/1845年にイタリア・ミラノのブランカ家が作ったハーブリキュールを炭酸で割った一杯。程よい苦味があり、キリッと飲みやすい。薬効が消化を助けるため、リセットにぴったり。2,310円。

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