歌舞伎町にホストクラブやバーは当たり前。現役ホストが握る寿司屋に歌舞伎町唯一の書店〈歌舞伎町ブックセンター〉(移転予定)、はたまた介護事業まで。新宿を拠点に手塚マキさんは二十数店舗もの事業を展開する。ボランティアで深夜の街頭清掃活動を行うなど社会派ホストとしても知られ、歌舞伎町に新風を巻き起こしまくる男が次に仕掛けたのは“クラブ”。手塚さん、なぜ今クラブなんですか?
「僕自身、4年ほど前から歌舞伎町のクラブで飲み始めるようになったんですが、男も40歳を過ぎるとお酒の飲み方も変わってくる。キャバクラで派手に遊ぶ気分じゃないし、可愛い女性に隣に座ってもらって口説くような飲み方には正直疲れてきている。かといって、男同士でバーで渋く飲むっていうのも少し味気ない。落ち着いて良い酒が飲めて、綺麗どころもいるんだけど色恋関係なく過ごせる。そういう居心地のいい場所、自分自身も飲みに行きたくなるような店を作りたかったんですよね」
歌舞伎町にも、いわゆる昔ながらの高級クラブは十数軒ほど残っているそうだが、妙齢のママが店を切り盛りするような新店は全然増えていないのだとか。そこに手塚さんは、新たな可能性を見出した。
「キャバクラ、ガールズバーなど女性キャストがいる店って、店ではなく女の子に客がつくんですよね。でもクラブが決定的に違うのは、ママのコミュニティと采配で空間が作られていき、お客さんは店につくということ。そこに集う人たちが店の個性を作り、文化さえ生まれてくるから面白い。既成概念にとらわれない新しいクラブのスタイルを育てていけたらと。高級クラブは今も昔も大人のステータス。決して安くはない金額だけど、そこで時間を過ごすことに価値を見出してもらえたら嬉しいですね」