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世界からお届け!SDGs通信 ミラノ編。地元の水族館とタッグを組み、絶滅の危機に瀕する海洋生物を救う団体

毎号、世界中から届いた旬の話題を紹介しているBRUTUS本誌の「ET TU, BRUTE? CITY」から出張企画。世界中の約30都市から、今一番ホットなSDGsに関する取り組みをお届けします。今回はミラノから!

text: Shiho Sasaki (Studio Sakamoto) / edit: Hiroko Yabuki

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絶滅危惧種の生態と環境問題を楽しみながら学ぶ機会を提供

イタリア国内の絶滅危惧種は、山間部での違法な狩猟により大幅に減少したマルシカヒグマや、シチリア島のみに生息するボネッリワシ、海洋生物ではカレッタカレッタ(アオウミガメ)が知られている。

アドリア海に面する街・リッチョーネに拠点を置く団体〈SALVA UNA SPECIE IN PERICOLO〉は、主に絶滅の危機に瀕する海洋生物の未来を守る活動を行っている。ウミガメ、イルカ、サメ、フラミンゴ、フンボルトペンギン、ミツバチなどがその活動の対象だ。そしてこれらの動物たちの生息環境を守るために避けられないのが、海洋プラスチック問題。そこで各地の水族館と連携し、海の美しさを見せるエンターテインメント性と、生物の生態や生育環境についての知識を広めるエデュケーション(教育)を融合することを特徴としている。

水族館で海洋生物と触れ合うことと、それらを守る必要性を教えることで、環境教育を身近に考えることができる。またEUのウミガメ保護プロジェクト「TARTALIFE」に参加している非営利団体と協働し、傷ついたウミガメを保護の上、リハビリ後に海へかえす活動を続けている。地中海に生息するバンドウイルカの保護にも力を入れており、生息地外調査により、アドリア海側での海洋保護区設立に役立つデータ収集を様々な大学と協力して行うなど、絶滅危惧種の未来を繋げる活動を続けている。

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