Learn

世界からお届け!SDGs通信 バンコク編。タイ北部の農村に伝わる伝統文化を紡ぐ〈プラネッタ・オーガニカ〉

毎号、世界中から届いた旬の話題を紹介しているBRUTUS本誌の「ET TU, BRUTE? CITY」から出張企画。世界中の約30都市から、今一番ホットなSDGsに関する取り組みをお届けします。今回はバンコクから!

text: Chinami Hirahara / edit: Hiroko Yabuki

連載一覧へ

農村地域から生まれる環境、暮らし、使い手にやさしい極上の布

使えば使うほどに肌にやさしくなじみ、深い癒やしを与えてくれる。一度手にした人は手放せなくなると評判の〈Planeta Organica〉の製品たち。無農薬コットンやヘンプを使ったオリジナルの手織り生地でリネン類やリラックスウェアを展開する、日本人デザイナー・しまだみゆきさんによるタイ北部・チェンマイ発のブランドだ。

「綿を育て紡ぎ、自然染料で染め、機織りする。昔は娘の嫁入り道具のひとつとして持たせるために農作業の合間に心を込めて布を織ったそうです」。しまださんは、そんなタイの農村で代々受け継がれてきた伝統文化に惹かれてチェンマイに移り住んだ。

雨季が始まる6~7月頃に種を蒔き育て、乾季となる12~1月頃に収穫される綿花。大量生産ですべて刈り取るという大地に負担のかかる方法は避けて、複数の生産者から集める。そこから糸を紡ぎ、草木染めや藍染めされ、電動の機械織りに比べて約10倍もの時間をかけて丁寧に手織りする———。タイ北部の農村でたくさんの人々の作業と気の遠くなるようなプロセスを経て生まれる布は、なんともいえない豊かな温かみがある。

自然の恵みと伝統文化、そしてしまださんの想いが融合した〈Planeta Oeganica〉は、環境を守ることにも農村地域の雇用にもつながっている。

連載一覧へ