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世界からお届け!SDGs通信 メルボルン編。人間と野生動物との共存を管理し、観光へと繋げる自然公園

毎号、世界中から届いた旬の話題を紹介しているBRUTUS本誌の「ET TU, BRUTE? CITY」から出張企画。世界中の約30都市から、今一番ホットなSDGsに関する取り組みをお届けします。今回はメルボルンから!

text: Mifumi Obata / edit: Hiroko Yabuki / 写真提供: © Phillip Island Nature Parks and the Penguin Foundation

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環境保全のために町を買い取る、前代未聞の政府の決断!

オーストラリア南東部を主な生息域とする世界一小さなペンギン、その名もコガタペンギンで有名なフィリップ島。メルボルンからわずか90分の人気の観光地だが、1980年代、島内のペンギンは、生息地の破壊や外来種による影響から減少していた。そこで州政府は1985年、ペンギンを守るために繁殖地に近い宅地すべてを買い取る決断をする。犬やキツネなどの外来捕食動物や外来植物を除去し、もともと自生していた植物を植え、車との衝突事故などペンギンが直面していた人為的な脅威を軽減。その結果ペンギンの個体数は増え、自然再生事業から40年後の今、ペンギンだけでなく他の種にとっても有益であったことが証明された。

1996年には州政府によって人間と野生動物との共存を管理し、エコツーリズムを推進する〈フィリップ島自然公園〉が設立。夕刻、波打ち際から巣穴に戻るペンギンの群れが見られるペンギンパレードや、豊かな生態系を楽しみながらコアラを間近に見ることができるコアラ保護区など5種のアトラクションを用意。観光収入は保護活動や研究、教育プログラム、野生動物診療所の運営に使われている。また同公園が実施するペンギン基金でも、単発や定額寄付、ペンギンやコアラの里親登録を通じて資金調達を行い、活動を支援している。

2019年には最新鋭のペンギンパレード・ビジターセンターがオープン。フィリップ島固有の野生動物保護をさらに推し進めていくことが期待される。

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