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世界からお届け!SDGs通信 ベルリン編。アートを通して人々に呼びかける地球からのメッセージ

毎号、世界中から届いた旬の話題を紹介しているBRUTUS本誌の「ET TU, BRUTE? CITY」から出張企画。世界中の約30都市から、今一番ホットなSDGsに関する取り組みをお届けします。今回はベルリンから!

text: Akiko Watanabe / edit: Hiroko Yabuki

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全ての人類に深く関わる事象に意識を向けるためのアート

アイスランドのルーツを背景にデンマークで生まれ、現在コペンハーゲンとベルリンを拠点に世界中で精力的に表現活動を続ける芸術家、オラファー・エリアソン。その名が世界的に知られることになった、2003年にロンドンの〈テートモダン〉で開催された「ウェザー・プロジェクト」は、高さ35メートルもある大型の会場に巨大なオレンジ色の太陽をインストールしたものだった。当時、話題になりつつあった気候変動について、人々が思考することのきっかけを投げかけるようなその作品は、強力なインパクトをもたらした。

グリーンランドの海に浮かぶ氷塊をロンドンやパリの街中に設置し、人々はそれらに自由に触れることでそれの持つ意味や背景に思考を巡らせる体験型アートや、年々縮小しつづけるアイスランドの氷河を20年にわたって写真で記録した作品。鑑賞者は飾りない現実をつきつけられることで、現在進行中の地球における変化を感じさせられることになる。

オラファーが生み出す作品は視覚的にただ美しいだけでなく、さらには、地球温暖化などの事象を止めようとしているのでもない。自然と人類の共存において、地球に住む我々全員がその「当事者」であり、何らかのアクションをとる意義が大いにあるということへ、意識を向けることを促しているのだ。

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