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世界からお届け!SDGs通信 ストックホルム編。官能的な作品で性のあり方を表現するアーティスト

毎号、世界中から届いた旬の話題を紹介しているBRUTUS本誌の「ET TU, BRUTE? CITY」から出張企画。世界中の約30都市から、今一番ホットなSDGsに関する取り組みをお届けします。今回はストックホルムから!

text: Miki Osako / edit: Hiroko Yabuki

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“ハイパーフェミニン”とピンクの世界を通して、ジェンダーステレオタイプを打ち破る挑戦

ストックホルムを拠点に活動するArvida Byström(アルヴィーダ・ビーストローム)は、フォトグラファー、パフォーマー、デジタルクリエイター、さらにはモデルと幅広い分野で活躍をするアーティストだ。彼女は写真やパフォーマンス、SNSを通じて、女性らしさとその複雑さ、そしてジェンダー規範に関するテーマを探求していることで知られている。

アルヴィーダは10代の頃からブログやTumblrといったインターネットのプラットフォームを駆使し、セルフィーや自分の写真を投稿してきた。そのため現在も彼女の表現は、常にデジタルカルチャーと強く結びついている。スウェーデンで最も興味深い若手アーティストとして注目される存在となったきっかけは、インスタグラムに投稿していたアルヴィーダのセルフィー。それが話題となり彼女の作品は世界中で展示され、多くの雑誌掲載をはじめ、〈アディダス〉や〈カルバン・クライン〉のような影響力のあるブランドの広告モデルにも起用された。

そんな彼女のスタイルはハイパーフェミニンと呼ばれ、作品の多くにピンクを用いて過剰な露出や挑発的な表現をすることにより、性のあり方について訴えている。とりわけ「スタンダード」と「性的対象化された体」に疑問を投げかけている彼女のセルフィーは、ランジェリーのような露出の多い姿に、足や脇などの体毛や体の傷もそのままだ。それでも自信に満ち溢れている彼女のありのままの姿は美しく、たくさんの若者から支持を得ている。

現在はAIを使ったプロジェクトを進行中とアルヴィーダは語る。「裸の女性の体が性的対象とされるのが問題なのです。それを変えるには社会全体を変えないといけません。ノンバイナリーやトランスジェンダーの人もいる現代では、体で分類をすることは時代遅れ。私たちはすべての人の体を平等に扱わなければならないことを、作品を通して訴えていきたいのです」。

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