Learn

世界からお届け!SDGs通信 バルセロナ編。子どもたちの夏季課外活動をサポートする〈ペラ・タレス財団〉

毎号、世界中から届いた旬の話題を紹介しているBRUTUS本誌の「ET TU, BRUTE? CITY」から出張企画。世界中の約30都市から、今一番ホットなSDGsに関する取り組みをお届けします。今回はバルセロナから!

text: Yuki Nakamori / edit: Hiroko Yabuki

連載一覧へ

低所得家庭の子どもたちに、無料でサマーキャンプを提供

バルセロナでは貧困に悩む子どもたちは少なくない。2020年のデータでは、カタルーニャの人口全体のうち約17%が貧困に苦しんでいるという統計もある。そんな子どもたちの教育面および経済的なサポートをしているのが、非営利団体の〈Fundació Pere Tarrés(ペラ・タレス財団)〉である。1957年の設立以来、1年中を通して「子どもたちを子どもとして暮らし、人として育つのに寄り添う」をスローガンに掲げ、学童保育所や0歳から3歳の保育園経営、ソーシャルワーカーを養成する大学課程など、幅広い教育活動とソーシャルアクションの活動を続けている。

とりわけスペインで毎年問題になるのが、約2カ月半の長い夏休みだ。学校給食がなくなる同期間中、低所得家庭の子どもたちが路頭に迷うことも珍しくない。そこで、そんな子どもたちに居場所をつくり、夏の思い出をつくってもらう取り組みが「Cap motxilla buida(空のリュックをなくそうプロジェクト)」である。

財団が主催するさまざまな夏季の課外活動には、これまでに合計3万8000人の子どもたちが参加してきた。特に人気があるのが、6泊7日のサマーキャンプだ。低所得家庭の場合、財団が決めた世帯収入などの条件をクリアしていれば、参加費用は無料となり、2023年は6407人がその対象となった。カタルーニャ州に16カ所とマジョルカ島に1カ所の宿泊施設があり、スポーツやハイキング、英語の授業やプールなどを楽しむことができる。キャンプに必要なリュック、寝袋、靴、着替え、日焼け止めクリーム、櫛、歯磨きセットなど必要なものは全て無料で支給される。

夏の課外活動に参加することは、決して贅沢なことではない。子どもたちの成長において、必要不可欠なのだ。

連載一覧へ