Learn

世界からお届け!SDGs通信 バルセロナ編。マイクロプラスティックを分析するスタートアップ企業

毎号、世界中から届いた旬の話題を紹介しているBRUTUS本誌の「ET TU, BRUTE? CITY」から出張企画。世界中の約30都市から、今一番ホットなSDGsに関する取り組みをお届けします。今回はバルセロナから!

text: Yuki Nakamori / edit: Hiroko Yabuki

連載一覧へ

海洋環境と人体への影響にフォーカスし、水中のマイクロプラスティックを分析

〈Captoplastic(カプトプラスティック)〉は、社員が知見をまとめて蓄積し、データベース化したナレッジベース企業だ。マドリッド自治大学のサイエンス学部のプロジェクトとして2018年にスタートし、2021年にマイクロプラスティックを収集、除去する技術で特許を取得。投資会社・Beable Capital社のバックアップのもと、2020年6月にスタートアップ企業として起業。2021年にはデジタル業界の若手起業家に贈られるNTTデータ財団の「Global eAwards」を受賞している。

マイクロプラスティックは、まず水生動物が食べ、それを食べた人間の健康にも害が及ぶと考えられている。同社の主な業務は、海水や汚染水の中に含まれる長さ5m以下の小さなマイクロプラスティックの収集とその分析だ。現在の社員数は計10人、協力コンサルタントが3人と小規模だが、手がけるプロジェクトは日々増えており、近い将来社員が計14人となる予定。日々成長を続けている。

「私たちの使命は、水に含まれるマイクロプラスティックの数値化、識別、そして集積にあります」とCEOのRaquel Parra(ラケル・パラ)氏。彼によると私たちは日常生活において、気づかないうちに1週間で平均約5グラムのプラスティックを口にしている計算になるというから驚きだ。

5グラムはクレジットカード1枚分に匹敵する重さ。「マイクロプラスティックの追跡調査は、自然環境はもちろんのこと、私たちの身体も守ることになります」と語る。

いまだ研究が遅れている分野であり、標準化された分析方法も存在してしなかったマイクロプラスティックの数値化を実現した同社。将来的にはそれらが下水処理施設のシステムに組み込まれ、使用されることを目標としている。

連載一覧へ