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シネマコンシェルジュの映画監督論:Ms.メラニー「得意なジャンルは心温まる作品や、ラブロマンス。」

巨匠から新鋭まで、素晴らしい監督たちが次々と登場する今、観るべき監督を知るには、やっぱり信頼できる映画通の後ろ盾が欲しいもの。独自の審美眼で映画シーンを追いかけ続ける30人に頼ることに。

Illustration: Thimoko Horiguchi / Text: Yoko Hasada, Aiko Iijima, Saki Miyahara, Konomi Sasaki / Edit&Text: Emi Fukushima

映画好きMs.メラニーへ7つの質問

Q1

あの監督の虜になった名シーンは?

Ms.メラニー

『籠の中の乙女』は不思議な内容が続いた後、ラストシーンでヨルゴス・ランティモス監督のメッセージがわかったような気がしました。ガツンと殴られるような感覚があり、この監督に夢中に。

Q2

好きな監督のベスト作品は?

Ms.メラニー

映画に必要な要素がすべて詰まっているアレクサンダー・ペイン監督の『サイドウェイ』。私はこれを観るために映画の仕事をしてきたんだ、と感動しました。

Q3

好きな監督のイマイチだった作品は?

Ms.メラニー

アレクサンダー・ペイン監督の『ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅』。父と息子の物語にはどうも感情移入ができず、あまり印象に残っていません。

Q4

最近になって魅力的に感じるようになった監督は?

Ms.メラニー

ずっと苦手意識が抜けなかったデヴィッド・フィンチャー監督。しかし『ソーシャル・ネットワーク』で底力を見せつけられて以来、目が離せなくなりました。

Q5

あの監督に撮ってほしい、意外なテーマは?

Ms.メラニー

以前、M・ナイト・シャマラン監督が撮る予定のラブロマンスの素晴らしい脚本を読みましたが、結局その作品は作られず。ギミックを取り除き、繊細さを前面に出したラブストーリーは傑作の予感。

Q6

個人的に今気になっている監督は?

Ms.メラニー

デスティン・ダニエル・クレットン監督。ブリー・ラーソンもラミ・マレックも、彼のおかげで大物への一歩を踏み出したと言っても過言ではないかと。

Q7

将来が楽しみな次世代の監督は?

Ms.メラニー

『レ・ミゼラブル』のラジ・リ監督。一瞬も気が抜けない緊張感を最後まで保つ演出に、そこはかとないエネルギーを感じます。

2010年以降の「この監督のこの一本」。
アニエス・ヴァルダ、JRの『顔たち、ところどころ』

50年以上にわたり活躍した“ヌーベルバーグの祖母”。

監督という切り口の作品紹介、「女性監督の作品にしたい」と思い浮かんだ女性監督が、アニエス・ヴァルダでした。私が初めて劇場で観賞した女性監督作品が、ヴァルダの『ジャック・ドゥミの少年期』で、今でも心に残る一本だからでしょう。ヌーベルバーグ唯一の女性であった彼女は、長い間世界の「女性監督」という地位を一人で牽引し、昨年90年の生涯を閉じました。その2年前に発表した最後の長編作品が本作です。

ストリートアーティストのJRと共にフランスの田舎の村々を回り、そこで生きる人々の写真を撮って物語を綴るドキュメンタリー。その映像は、どのシーンを切り取ってもポストカードになりそうな美しさで、街角のショット、韻を踏んでいる『Visages Villages』という原題に至るまで、心躍るほどにおしゃれです。

作品に新鮮さをもたらすのがJRのアートなら、映像として心温まる物語に仕上げているのは、ヴァルダの手腕にほかなりません。全編を通してヴァルダの人柄に惹かれずにはいられない本作。ヴァルダに魅了された後には、ヌーベルバーグ作品で彼女を再発見してみてはいかがでしょう。