映画好き福富優樹へ7つの質問
Q1
あの監督の虜になった名シーンは?
福富優樹
ウェス・アンダーソン監督の『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』でNicoの「These Days」という曲がかかる場面。大学の図書館で観て、映画をさらに好きになりました。好きすぎて、「These Days」をHomecomingsライブの登場SEにしています。
Q2
好きな監督のベスト作品は?
福富優樹
スパイク・ジョーンズの『アイム・ヒア』。あとやっぱりコーエン兄弟『ファーゴ』。ケン・ローチの『家族を想うとき』。
Q3
好きな監督のイマイチだった作品は?
福富優樹
ノア・バームバック監督の作品はどれも大好きですが『ヤング・アダルト・ニューヨーク』だけはハマらなかったです。
Q4
最近になって魅力的に感じるようになった監督は?
福富優樹
ケリー・ライカート監督。記事などで名前だけを知っていて、文脈的に小難しい感じの映画を撮る人かな、と思っていたのですが『リバー・オブ・グラス』と『ライフ・ゴーズ・オン 彼女たちの選択』を続けて観て感動しました。
Q5
あの監督に撮ってほしい、意外なテーマは?
福富優樹
ウェス・アンダーソン監督が倒叙ミステリーを撮ったら面白そう!『グランド・ブタペスト・ホテル』ではなくて、『アンソニーのハッピー・モーテル』みたいなアメリカっぽい感じで。
Q6
個人的に今気になっている監督は?
福富優樹
スティーヴン・チョボスキー。ジャンルのせいか、もともと作家のためか軽く見られがちですが、これからも素敵なヤングアダルト作品を撮り続けてほしいです。
Q7
将来が楽しみな次世代の監督は?
福富優樹
『はちどり』のキム・ボラや、ボー・バーナム。
2010年以降の「この監督のこの一本」。
リチャード・リンクレイターの『30年後の同窓会』
物語とそこに流れる“時間”を、優しくすくい上げる監督。
リチャード・リンクレイターは流れている時間を撮る。海そのものや、海を目的とした旅ではなく、水の流れとその上にたゆたうものを撮る。
『スラッカー』『バッド・チューニング』ではある一日、『エブリバディ・ウォンツ・サム!世界はボクらの手の中に』では新学期前の3日間という短い時間を、『ビフォア』シリーズや『6才のボクが、大人になるまで。』では10年以上の時間をスクリーンの中に映してみせる(『ビフォア』シリーズではそれぞれに物語上のタイムリミットもある)。
そもそも映画は時間にとらわれているメディアだ。彼はそのことにとても自覚的だ。だからこそ時に手を広げて、時に小さくすぼめて“時間”をすくい取る。僕たちは物語とそこに流れる時間を観ることができる。
『30年後の同窓会』はそんな時間のある一点にとらわれ続ける3人を描いた映画だ。たとえ過去にとらわれていたとしても時間は流れ続ける。同じ一点にとらわれた3人はその線を伝って再び出会う。ゆっくりと線をほどくでもなく、きつく結び直すのでもなく。今の彼らにはバカ話とビールだけじゃないものも確かにあるのだ。