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大衆食堂として愛されてきた、町中華の洋食。〈中華料理 ぼたん〉〈中華・洋食 やよい〉

いつの時代も、洋食は人々の胃袋を満たしてきた。大正や昭和から続く大衆食堂から、百貨店のお好み食堂にルーツを持つ洋食スタンド、さらには町の中華屋さんまで。洋食の大衆化とともに歩んできた店を紹介する。

photo: Shin-ichi Yokoyama, Kazuharu Igarashi / text: Koji Okano

日常のごちそうとして親しまれてきた洋食は、大食堂やスタンドだけに限らない。戦後の高度成長期に急速に増えた、町中華。洋食も和食も、客が好めば何でも扱うという店は多く、大衆食堂として愛される存在だ。

中華料理 ぼたん(浅草)

1948年創業の浅草〈中華料理 ぼたん〉もそんな店の一つ。元は定食屋だったが、2代目が中華を始め、3、4代目が切り盛りする現在は、麺類や点心が品書きの中心だ。

しかし今も餃子と一、二を争う人気なのが、定食屋時代の名残であるオムライス。薄焼き卵で包まれたチキンライスは酸味がまろやかで、コク深いと評判だ。強火で中華鍋をあおることで生まれる、味わいの一体感。町中華だからこそなせる一品である。

中華で人気なのがキクラゲ、シイタケ、タケノコなど具がたくさんの五目焼きソバ。麺は餃子の皮と同じく〈浅草開化楼〉のものを使用。

中華・洋食 やよい(浅草)

一方、浅草〈中華・洋食 やよい〉は、1924年に西洋料理店として開業。こちらも2代目が中華を取り入れ、今は3代目が中華と洋食、両方の味を守る。

人気のポークソテーは、ふわふわでソフトな食感。低温のラードでじっくりと火入れするからこそ軟らかく、豚の旨味も逃げないそうだ。また鶏と豚でとったラーメンスープを加えたデミグラスソースが滋味深く、ポークソテーの味わいをさらに濃厚にしてくれる。

洋食店で修業した初代から引き継がれるカツ丼も人気の一品。スパイシーなオムライスドライカレーもリピーターが多い。