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教えて、猫博士Vol.1:自分の名前はわかってる?利き手はある?トゲトゲ舌はなんのため?

普段、「不思議だな」と思っている猫の行動や体の仕組み。実はその理由は科学的に解明されているんです。質問箱に寄せられた素朴なギモンに、猫研究の最前線にいる猫博士こと、荒堀みのりさんが答えてくれました。

Illustration: Sei Hasuda / Text: Yukiko Kobayashi / special thanks: anicom

Q.猫のトゲトゲ舌はなんのため?

猫に手や顔を舐められて、「ちょっと痛い」と思ったことありませんか?猫の舌は表面に無数の突起がある“トゲトゲ舌”。これで毛づくろいするのも痛いのでは?と思うかもしれませんが、近年の研究で、この特殊な形状が非常に大切であることがわかってきました。

舌の表面の小さな突起は先端がU字状にくぼんでいて、そこに唾液が溜まる仕組みになっています。猫は日に何度も体を舐めて毛づくろいしますが、そのたびに唾液が毛や皮膚に行き渡り、汚れやノミなどが落ちやすくなるというわけです。この“トゲトゲ舌”の仕組みはカーペットなど毛足の長いファブリックのクリーニングなどに応用できると期待されています。

猫 イラスト

Q.自分の名前わかってるの?

名前を呼ぶと一目散に駆け寄ってくる犬。それに比べて猫は、名前を呼んでも知らんぷりなんて塩対応も日常茶飯事です。でも2019年に発表された論文で、猫は自分の名前を聞き分けており、見知らぬ人に呼ばれた場合でも反応するという実験結果が示されました。

研究ではのべ112匹を対象に、正しい名前と、名前に似た発音を持つ4つの名詞で呼びかけて反応を計測。結果、自分の名前に対して違った反応が示されました。ただ犬に比べると反応はまだ薄く、猫によっては反応しない場合も。今後、室内飼いの時間がさらに増え、人間との関係性がより親密になるにつれ、人の合図を読み取る能力はより高くなるかもしれないという考えもあります。

Q.猫にも利き手があるの?

人間の利き手の割合は右9:左1といわれていますが、猫はどうなのでしょう?これまでの研究では、利き手のある猫の方が多いこと、さらにオスは左、メスは右利きが多いという結果が出ています。犬は両利きが多いそうですが、これには捕食スタイルの違いが影響しているのではないかと考えられます。歯で獲物に食らいつく犬に対し、猫は爪を使って獲物を捕らえます。

日々の生活において手が重要な役割を果たす猫の習性が利き手を生んだと考えられています。ちなみに猫の利き手は簡単に調べられます。コップの中にご飯を入れて、どちらの手でそれを取るか、5回ほど繰り返してみてください。使う回数の多かった方の手が利き手です。

猫 イラスト

Q.猫もまばたきをするんですか?

猫の目は乾きを防ぐ構造になっており、頻繁にまばたきする必要がありません。では猫がまばたきをするのはどんなときでしょう?2020年の研究では、人間が猫の前でゆっくりまばたきをすると、猫も同じように返すことが多いという結果が報告されました。同時に、人間が無表情で猫を見つめるよりも、ゆっくりとまばたきをした後の方が、猫が近寄ってくる傾向にありました。

これはゆっくりとしたまばたきが猫と人とのコミュニケーションに何らかの役割を果たしていることを初めて実証した実験です。今後研究が進めば、まばたきによって人間と猫との絆をより深めたり、猫のストレス具合を測る目安として活用したりできるかもしれません。

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Q.猫も思い出を持っている?

「猫は三年の恩を三日で忘れる」なんていわれますが、それを覆すような研究結果もあるんです。実験では4種類の食器のうち、AとBにはご飯、Cにはおもちゃを入れ、Dは空っぽ。猫はすべての器を調べた後、AとBを食べようとしますが、Bは妨害をして食べさせません。その後、全部の食器を洗浄し、空の状態で同じ場所に並べると、Bの食器の周りを探す猫が多かったそうです。

これは「Aのご飯はさっき食べたけど、Bは邪魔されて食べられなかったから残っているはず」という記憶が残っていたからこそ。つまり猫が「いつ、どこで、何が起こったか」という文脈を持った記憶=「思い出」を持つという可能性が示されたということです。