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教えて、猫博士Vol.2:猫はどうして「ニャー」と鳴く?飼い主の人間関係、気にしない?

普段、「不思議だな」と思っている猫の行動や体の仕組み。実はその理由は科学的に解明されているんです。質問箱に寄せられた素朴なギモンに、猫研究の最前線にいる猫博士こと、荒堀みのりさんが答えてくれました。前回の「教えて、猫博士 Vol.1:自分の名前はわかってる?利き手はある?トゲトゲ舌はなんのため?」も読む。

Illustration: Sei Hasuda / Text: Yukiko Kobayashi / special thanks: anicom

Q.飼い主の人間関係気にしない?

飼い主に優しい人と意地悪をする人、猫はどっちになつくでしょうか?最近の研究でわかってきた答えは「そんなのカンケーない!」です(笑)。実験では飼い主と見知らぬ人間が2人いる場所でタッパーを入れたご飯を用意します。

飼い主はほかの2人にタッパーを開けてほしいと頼み、1人はそれに応じ、もう1人は無視します。その後、見知らぬ人役の2人が同じご飯を持って猫に近づいたところ、猫は両方からご飯をもらいました。

ちなみに同じ実験を犬で行ったところ、飼い主を助けた人からご飯をもらうケースは少なかったそうです。猫は単独行動で社会集団を作らない動物ですから、集団における忖度には興味がないのかもしれませんね。

Q.猫はどうして「ニャー」と鳴く?

本来、猫が「ニャー」と鳴き声を上げるのは仔猫のときだけ。母猫に空腹や寂しさを訴えるための行動です。大人になった猫は単独行動ですから、鳴き声でほかの猫とコミュニケーションを取る必要はありません。

ではいつから大人の猫が鳴くようになったかというと、人間と猫が共存を始めた約1万年前からだと考えられています。餌を与えてくれる人間にアピールするため、仔猫のような「ニャー」を発するようになったのかもしれません。

もし複数の猫を飼っているなら、留守中に隠しカメラで観察してみてください。猫だけの部屋は静かでしょう。大人猫の「ニャー」は人間を前にしたときだけ発せられるもの。人間だけが得られる特権なのです。

猫 イラスト

Q.モフモフに癒やされるワケは?

猫といるとイライラした気持ちが穏やかになるという人も多いでしょう。人は柔らかく、人肌程度の温かいものを撫でると、脳がホルモンの一種であるオキシトシンを分泌します。オキシトシンはストレスを緩和したり、親密な気持ちを高めたりする効果をもたらすことから「幸せホルモン」なんて呼ばれることもあります。

さらにオキシトシンは気持ちを落ち着かせるセロトニンや、快感や多幸感を得られるドーパミンなどの神経伝達物質の働きを高めるということで、まさにリラックスと幸せの洪水というわけです。猫のみの実証が行われたわけではないのですが、猫に癒やされるのは科学的にも間違っていないかもしれません。

猫 イラスト

Q.猫は薄情ってホント?

「犬は人につき、猫は家につく」といわれますが、最近では猫も意外と情深いことがわかってきました。実験では見知らぬ部屋で飼い主と猫が2分間過ごし、飼い主が退出。2分後に飼い主が部屋に戻ったときの猫の反応を観察しました。

その結果65%の猫が飼い主に近寄り、その後も落ち着いた状態を保ったそうです。猫は馴染みのない環境に置かれると落ち着きを失いがちですが、この実験からは多くの猫が飼い主としっかり結びついており、慣れない状況でも飼い主を“安全な基地”と見なしていることがわかります。

猫にとって引っ越しなどの環境の変化は良くないといわれますが、飼い主との絆がストレス軽減に効果的なようです。

Q.猫も音楽を聴くとリラックスするの?

人間にとって音楽鑑賞はリラックス法の一つですが、猫はどうでしょう?アメリカの大学ではさまざまな猫用の音楽を作曲し、猫がどんな反応を示すか調査する実験が行われました。

作曲にあたって採用されたのは、猫がゴロゴロと喉を鳴らすテンポや、仔猫が母猫のお乳を吸うテンポ。また猫本来の発声に注目して、人間の音楽より1オクターブ高い周波数レンジに合わせたそうです。

研究チームは20匹の猫を対象に、動物病院で身体検査を行う最中に「猫専用曲を流す」「人間用のクラシック曲を流す」「何も流さない」という3パターンの実験を行い、それぞれ猫の行動や反応からストレスを測定。結果、猫専用曲を流したときの方が、ほかの2パターンよりもストレスの度合いが低いことがわかりました。

さらに研究が進めば、よりストレスを減らせるミュージックが誕生するかもしれません。自宅でのリラックス効果はもちろん、保護シェルターや動物病院などで緊張状態にある猫を落ち着かせる新たな方法として、今後ますます注目されそうです。

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