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〈organ〉店主・紺野 真の捨てられない本。『LA CUISINE DU MARCHÉ』

何年も手放すことができない、何冊も買ってしまうような、〈organ〉店主・紺野 真にとって大切な一冊。本について語る時、そこには人生の歩みと、本が紡ぐ新たな物語が刻まれている。

photo: Satoko Imazu / text: Nozomi Hasegawa / edit: Chisa Nishinoiri

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新たな刺激をくれた、心の師匠からの粋な贈り物

2012年前、パリで有名シェフのダニエル・ローズのレストラン〈Spring〉へ研修に入り、朝から晩まで必死に働いた期間がありました。もちろん最終日も気を抜かずに仕事をしていたのですが「生ハムが足りないぞ!」と怒られてしまったんです。

急いで地下室でスライスをして戻ったら、なんと厨房には僕のためのコース料理が並んでいました。その料理とともに贈られたのが、ダニエルも読み込んで年季の入ったこのレシピ本。扉には「日本の料理人の兄弟」と書いてくれて。嬉しかったですね。

文字ばかりで読むのは大変ですが、意味をその都度調べながら、フランス料理の基本を再確認しています。僕の料理のスタイルは、心の師匠のダニエルとこの本から影響を受けたと言っても過言ではありません。

現代フランス料理を築き上げた重鎮、ポール・ボキューズによるレシピ本。著/ポール・ボキューズ。Flammarion
現代フランス料理を築き上げた重鎮、ポール・ボキューズによるレシピ本。古典的なフランス料理が150点ほど掲載されている。著/ポール・ボキューズ。Flammarion。

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