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まるで美術品の中に住んでいるよう。60年代に建てられたカルフォルニア建築の住み手

ロサンゼルスは活気に溢れている。ファッション、デザイン、アート、食とあらゆる分野で新しい潮流が生まれる一方で、傑出した才能の持ち主が、続々とこの地に住み始めている。そもそもは映画産業の都市。映画制作の場が拡散した現在、ビジュアル文化に長けた土地柄をもとに、恵まれた気候と広大な空間に育まれたしなやかな気風で、暮らしと仕事を皆生き生きと謳歌しているのだ。

Photo: Yoko Takahashi / Text: Mika Yoshida & David G.lmber / Edit: Kazumi Yamamoto

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見晴らしの良さといい洗練されたレトロなデザインといい、まさに理想的。1960年代に建てられたこの家にエヴリンとデヴィッドが住み始めて1年が経つ。

ユニークなのはそもそも建築家が自分のために設計した自邸だったこと。ジョン・シンノという名の日系アメリカ人で、シルヴァー・レイクに佇むこの住宅に終生住み続けたそう。

2代目オーナー、ジョン・V・マトローは南カリフォルニア大学の教授を務める建築家。エヴリンたちの家主であるマトロー教授が「典型的な南カリフォルニアスタイル」と語るシンノ渾身の作はLAの大切な文化遺産なのだ。

「まるで美術品の中に住んでいるよう」とエヴリン。電気のスイッチも水回りも何一つ替えずに、一切オリジナルのまま暮らさないといけない。半世紀以上も前の家だから、電気系統などで不便な面も少なくない。
また「キッチンの床を替えたくても、この家にはこの色でなければ、と教授のお許しが出ないの(笑)」なんてことも。

ハードルは高いが、それを補って余りある住まい、とも語る。

エヴリンがインテリアに目覚めたのはごく近年のこと。ファッション誌のエディターとしてNYの狭いワンルームに住んでいた20代の頃は「家具を買うより、飲みに出かけるタイプでした」。

30代を迎えたからか、暮らしを慈しむ土地柄だからか、LAに引っ越してからは、自然と住まいに目が向くように。わからないことは友人のインテリアデザイナーが教えてくれる。

「家の個性が強いので、呑み込まれないように」好みの家具を買っては家に合わせる。与えられた制約の中で、いかに自分らしさを出すか。“作品”を住みこなす過程も楽しむ2人なのだった。