商業出版には載らないユニークな本が集結。“これぞ文フリ”なZINEを求めて

2025年5月は東京ビッグサイトで開催され、16,000人が訪れた文学フリマ。そこには商業出版には載らないユニークな本が並ぶ。

text: Yoko Hasada

極めて私的なセルフパブリッシング

文学フリマ、通称文フリ。アマチュアからプロまで参加する文学作品の展示即売会だ。作り手が「自ら〈文学〉と信じるもの」なら何でもOK。小説やエッセイ、短歌などジャンルは幅広く、商業出版には載らないユニークな本を手に取れる。

近年活躍する小原晩や古賀及子といったエッセイストも、文フリをきっかけにその才能が発見された。年々出店者と来場者が増え、2025年5月は東京ビッグサイトで開催され、16,000人が訪れた。

最近の傾向として、文学サークルのように趣味や嗜好が似た人たちで集まった、グループ制作のZINEがよく見られる。「働きたくない」「おてあげ」といった、ネガティブな感情をさまざまな側面からまなざせるのは、多様で読み応えもある。

一方で、極めて個人的な、感情が爆発した「これぞ文フリ」なZINEがある。

串岡七瀬さんの『味のない毎日』は、都内在住一般女性の恒常的に変わらない日々を静かに書き殴る。日記とChatGPTとの会話を綴った犬川蒔さんの『アフター・アフター・アワーズ』は、感情の赴くままに吐露された言葉で埋め尽くされる勢い。普段はサークルで同人誌を作るいなだ易さんの『距離を測る!』も個人誌だからこそ書ける家族の話。

個人的な作品が集結する「エッセイ・随筆・体験記」エリアには、胸が騒ぐ飾らない言葉がホチキス留めされて並び、そのさまに文フリの原点を感じる。

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